完全版 山口百恵は菩薩である
完全版 山口百恵は菩薩である / 感想・レビュー
harass
図書館で見つけ手に取る。この本は戦後歌謡曲評論の傑作であると知ってはいたが現物は初めて見た。歌手山口百恵のデビューから引退まで約20年かかって書かれてきた評論をまとめたものだ。過剰な妄想と情熱を含む言葉の集積物を築いていく。勇ましく知的な演説を読んでいるような心地よさがある。新左翼の活動家でもあってアジテーションはお手のものだろう。『自分の煩悩を歌に昇華させた山口百恵は、他人の煩悩にも鋭敏に反応するだろう。他人の煩悩を自分の悲劇にくり込んで山口百恵はさらに大きくなるだろう。すなわち菩薩である。』
2016/09/27
yyrn
図書館で表紙に釣られて思わず借りてしまったが、2015年に再編出版された本。山口百恵が21歳で引退してからすでにその時点で35年も経っている。初出版は引退間際の1979年なので、その時であれば、もういなくなるスターに別れを惜しんで手に取る人も多かっただろうが、世代が一巡するほどの時間が経っているのに何故?と思ったが、ああーそうか、リタイア間近の60歳前後が、当時を懐かしんで手に取ることを狙ったかw。で、まんまと罠にハマったが、当時はこの本の文章のような小難しい屁理屈が受けた時代だったことを思い出した。⇒
2022/11/19
巣々木
山口百恵に興味を持ちオリジナルの旧版にて。寺山修司のエッセイに通じるような文体に軽い狂気も感じるが、なにかその熱に浮かされ、古いレコードなど集め始めてしまった。
2017/04/19
c
読んだことがあるつもりだったが勘違いだったな。しかし酷い本だ。書名は高名だし、平岡正明の語り口も嫌いではないのだが、これには感心出来なかった。いい歳をした男が二十歳の娘を観念の玩具として弄んでいる様は、ブームだった頃のAKBに踊った文化人同様、みっともないがまだ可愛げで済ませられる(弄ばれる方にとっては違うだろうが)。それより度し難いのは論旨の乏しさである。ひたすら強引なアナロジーで対象を権威化するだけ。結局、「俺が好きなものが凄いのは俺が好きだからだ」というよくあるサブカル語りの隘路で足踏みしている。
2017/01/15
Natsuhiko Shimanouchi
壮大で痛快なラブレターでありアジテーション。山口百恵を語るのにジャンゴ・ラインハルトまで出てくるとは。。
2015/08/29
感想・レビューをもっと見る