ジニのパズル
ジニのパズル / 感想・レビュー
ヴェネツィア
本書は群像新人文学賞を受賞しているのだが、まさにそれに相応しい瑞々しさを湛えた小説だ。崔実の作家名からもわかるように、彼女は在日韓国人作家であり、そのアイデンティティの在処が主題となっている。物語は最初はオレゴンで始まるのだが、そこにいる限りでは在日が他からも、そして彼女自身からも(もちろん内在化してはいるのだが)問われることはない。それが何度も変奏されながら問われるのは、日本にいた小学生時代、そして朝鮮高級学校に在籍していた中学生時代だ。彼女の「たった1人の革命」には多分に無理を感じるが、それはそれで⇒
2019/11/26
starbro
第155回芥川賞にノミネートされたので興味を持ち読みました。本作がデビュー作なので、当然ながら崔実、初読です。芥川賞受賞作「コンビニ人間」と対局にある作品なんだと思います。アナーキー・イン・ザNK(North Korea)といった感じでしょうか?文体に才能を物語にパワーがありますが、本作は、半分私小説のような気がするので、次作がどのような内容になるのか楽しみです。
2016/09/12
ナイスネイチャ
図書館本。在日韓国人の苦悩、葛藤を描いてました。朝鮮学校に金親子(今は3代並んでいるのか?)の肖像があるのには驚き。表題にパズルとなっていたので少々アメリカに飛んだりして最後に文章がつながるのかなと思ったが、いまいち繋がりが明確ではなく残念。ただ圧倒的なパワーを感じられた作品でした。
2016/09/25
いつでも母さん
『そんな訳なかろう』ーそうさ、戦争が終わった訳じゃ無い。平和が再び訪れた訳じゃない。ー金一家の肖像画は間違いなくそう言っているよーだが、彼女に、ジニになんの罪があるだろう・・ただ、ここには深くて暗い河があるのだ。ジニよ、ジニ。お前だけが頑張らなくてもいいのだよ。ただ生きているだけでいい。そう言ってあげたいな・・
2016/11/25
🅼🆈½ ユニス™
群像新人文学賞、織田作之助賞、芸術選奨・文部科学大臣新人賞受賞作品🏆。選択の余地もなく生まれて見れば朝鮮籍。ただそれだけで不当な扱いを受ける。不当な扱いを受ける人は他にも色々といるはずだが、やられた事のない人には決して理解出来ない怖い現実に向かってジニは必死で闘おうとした。小さい叫びのこだまは活字として私にも響いて来る。もしかしたら、私は誰かに不当な石を投げているのではないか振り返る、考えさせる小説だった。漸く北朝鮮政権も崩壊を恐れつつ、どうか平和な世界🕊になりますよう❕
2018/10/27
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