猿の見る夢
猿の見る夢 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
初出は2018年8月~'19年9月の「週刊現代」。その時の読者層は40~50代くらいの、主としてサラリーマンだったと思われる。私自身は会社勤めの経験が全くないために想像でしかないのだが、それは桐野夏生も変わらないかも知れない。主人公の薄井は、一応は成功したサラリーマンとして(ただし銀行からの出向組である)こんなものなのかとも思うし、幾分か逸脱しているようにも思える。50歳くらいまでを世の中を滑るように渡ってきて、さてそこからどうするのか。それは私もまた同様である。そこに強固なリアリティを感じる小説だった。
2019/12/14
starbro
桐野夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。桐野夏生クオリティ、450P強一気読みしました。本作は[企業小説×不倫恋愛×新興宗教の夢占い]といった感じです。それにしても著者が一番愛おしい(笑)男を描いただけあって、どうしようもない主人公です。59歳にもなって、40歳台のケバイ愛人を「みゆたん」なんて呼ぶなんてキモ過ぎませんでしょうか?猿以下という事かも知れません。本作でセリーグ、パリーグ、セパ両リーグという新語を学びました!
2016/09/16
ミカママ
桐野さんの『だから荒野』系ダメオトコの傑作長編。久しぶりに小気味よい作品読ませていただいた。あー、いるいるこういうオトコ、桐野さんいわく、愛おしいっちゃ愛おしいが。タイトルも装丁も秀逸。あたしも長峰さんにみてもらいたい、そして孔子の四猿(笑)←読めばわかる。
2017/03/12
まちゃ
「猿の見る夢」なかなか意味深いタイトルでした。主人公・薄井はどうしようもないほど無節操な定年間近な男。登場する女性たちも自己中心的で感情移入できませんでした。でも何故か先の展開が気になって一気読み。楽しめました。さすが桐野さん、読ませますね。
2016/11/27
ケンイチミズバ
池井戸潤さんが描けば転籍出向を命じられた元銀行マンの奮闘記になったかも。島耕作ばりの世界はどこにでもあるだろうし、自分の身の回りで起きたことが桐野さんによって描かれたみたいで、こそばゆいような痛いような感覚があった。とても面白かった。私のポジションから社長室はかなり近い(フロアが同じなだけ)ですが、定年の方がもっと近いな。お金に余裕がある男は浮気、不倫します。欲望に正直なただのヒトにすぎないが社会的地位を得てなおおろかな存在がむしろおもしろい。セパ両リーグ制覇して飛ばされた男、わが社にも結構います。
2017/01/30
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- ISBN
- 9784813804383