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フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉

作家
神林長平
出版社
講談社
発売日
2017-05-31
ISBN
9784062205757
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フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉 / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

人工知能の急速な発展や仮想現実における仮想自己が現実よりも生々しさを持ち得る状況によって揺らぐアイデンティティをどう、証明するのかを描いた緩い雰囲気でもガチガチな思考SF。状況や誰が誰なのかが把握ができずにウンウン、唸る中、(作者の)猫愛がダダ漏れなのが緩衝材となり、微笑ましい。しかし、灯せば世界が終わりを迎えるフォマルハウトの燭台の眷属、キュウべぇ並みの可愛さに反した悪辣な厄介さを持つジャッカロープが怖いよぅ・・・。

2017/07/03

かとめくん

真実の世界を映しだす燭台を巡る話。真実を見ようとすればするほど何が真実か見失いそうになる世界が面白い。知能家電の自殺から始まり、自分で自分を殺した殺人犯の裁判の裁判員との謎解き。新興宗教の教祖への転身と、怪しい事件が続く。世界の真実を隠そうとするものからの妨害も。その先には…。世界は猫の世話をするために存在するのかもしれない。だが世界観の割に登場人物は飄々とし、悲壮感なんかかけらもないのが良いです。

2018/03/07

さく

面白かったー!!神林さんの本は初めて読んだけど、村上春樹さんのファンタジーに似てて、私の好み!角が生えている兎、ジャカロップは燭台の眷属で、リアルな世界に住んでいる。燭台に火を灯すと現れるハンモクたち。過去にトースターのミウラに意識を乗っ取られたことのある知能家電管理士さんの本名を知るために、林蔵は三本目の燭台に火を灯す。「三つの燭台に火を灯すとき世界が終わる」あぶくのような人の世界。いったい何が現実なのか。誰が実在するのか。〈倭編〉ということは、続編もあるのかな。

2017/10/28

inarix

神林作品では仮想と現実入り混じるSF的世界観のなか、一貫して意識とは、記憶とは、現実とは、そして私とは何かを問い続けている。IoTやAIを活用する第4次産業革命の動きが活発化している現在、ようやく時代は神林作品に追い付いてきたのではないか。そして彼が問い続けてきた命題は身近になり、いよいよ実体を伴うのだ。私たちが想像するよりきっと突然に世界の終わりは訪れる。予兆もなく、覚悟も定まらないうちに。世界が終わっても、誰も気付かない。この本を開いて読み終わるまで。それがまさに一つの世界の始まりと終わりになっている

2017/12/20

ひびキング

これまでも繰り返し著されてきた、魂の容れ物としての人や機械の物語の最新版アップデート。今作はテクノロジーに基づいているようで、実は超科学的なオカルトチックな展開。更に自我や意識の居場所にとどまらず、世界の有り様というか見え方へとテーマは広がっていく。その割には狭い世界を舞台にしていて、著者の近作は以前のような大作っぽさがなくなって来たように感じるな。

2017/08/03

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