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空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉

空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉

空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉

作家
清武英利
出版社
講談社
発売日
2017-11-08
ISBN
9784062208611
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「空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉」のおすすめレビュー

企業破綻の山一證券で女優に転身した人もいた!? 老若男女のすべてに捧げられたモトヤマ(元山一證券マン)たちからのエールの書

『空あかり──山一證券“しんがり”百人の言葉』(清武英利/講談社)

「号泣会見」といえば、今でこそ某・元兵庫県議員の謎の釈明会見が有名だ。しかし、中高年世代にとっては、1997年11月24日、自主廃業を決めた山一證券の当時の社長、野澤正平氏による謝罪会見は、忘れがたいものだった。

 その席上で野澤氏は、たくさんの報道カメラとその向こうの何千万という視聴者を前に、はばかることなく「悪いのは経営幹部で、社員たちは何も悪くないんです」と号泣した。

 筆者はどちらの会見もタイムリーにTVで見ていた。特に後者の場合、号泣するその姿を少しも笑う気にはなれなかった。グループ全体で1万人ともいわれた人々が、いわば突然、収入と行き場を失ったのである。その涙が、決して社長ひとりのものではないことは、だれの目にも明らかだった。

『空あかり──山一證券“しんがり”百人の言葉』(清武英利/講談社)には、そんな歴史的な企業倒産を体験した、モトヤマ(元山一社員の意)102名が登場し、当時の悔恨、転職後の体験、人生を通して得た境地、心の支えとなった言葉や人物、人間関係などを思い思いに…

2017/11/20

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空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉 / 感想・レビュー

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のっち♬

廃業で否応もなく転機を迫られると、人間は大抵のことが出来るとモトヤマの人々は証明している。男性の多くは金融業界に残った一方で、男性優位に嫌気がさした女性たちはあらゆる職業に散らばった傾向が見られる。家庭で揉めた様子はあまりない、元々社内結婚が多くて辛さを理解できるのが一因かも。転職に行き詰まったら助け合うのもモトヤマの美徳だ。そこには他では律儀過ぎて浮いてしまっても、廃業の経験をバネにできる気概への強い信頼がある。人の山一のプライドはこうして後世に受け継がれていくのだろう。ドラマ化の宣伝意図を所々感じた。

2023/11/13

きみたけ

著者は、山一證券破綻当時に読売新聞社会部長、その後読売巨人軍球団代表兼編成本部長を経験した清武英利氏。(私の中では巨人のイメージが強いです)山一證券破綻に関してすでに2冊の本を執筆しており、書き漏らした約200人の「清算社員」の苦しみ、女性社員や妻たちの物語、社員たちの再起の行方を追った一冊。清算業務センター長だった菊野晋次氏から送られた当時の清算業務記録が綴られた大学ノートをもとに、元社員たちへのアンケートも交えて書き綴ってます。300頁超で読み応えありですが、モトヤマの心の叫びが伝わりました。

2023/11/09

Yunemo

2013年12月に「しんがり」読了。山一破綻から20年が経ったのですね。当時の金融破綻を目のあたりにして、もう日本の再生は無いんだ、とのネガティブな想いにかられたことを思い出して。本作の102人の想いにふれて、自身だったら、こうまで生き残れていないのじゃないかな、なんてことを心の内で想います。挫折の記憶を掘り起こして言葉にできた、ある意味吹っ切れた方々の想い、なのでしょうが、吹っ切れずに埋没してしまった方々がどれほどいるのか。ただただ、働くことは、人生の意義を確認すること、こう言って振返られる強さに敬服。

2018/01/28

おいしゃん

山一證券倒産時に、最前線にいた百人による回顧録。経営陣への怒りはあっても、会社自体や同僚には未だに愛着持つ人がほとんどで、「人の山一」であったことを強く感じさせる。

2022/03/13

楽駿

川崎図書館本。「しんがり」の関連本。金融再編の序章が、北海道拓殖銀行と山一證券の破綻だった気がする。ずっと、金融関係の末端でお仕事してきましたが、私の在籍していた信販会社も自主廃業した事があり、尚更に、興味深く拝読しました。常識的におかしな事が、まかり通っている会社は、やはり、存続はできないだろうって、言うのが、正直な感想。破綻をマイナスと思わず、前を向いた人には、それなりの道が開けたことが、何より嬉しい。自分自身で、道は切り開くしかない。その覚悟は、破綻のおかげで、私もできたもの。

2018/03/24

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