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バルス

バルス

バルス

作家
楡周平
出版社
講談社
発売日
2018-04-26
ISBN
9784062209847
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「バルス」のおすすめレビュー

ネットで注文したモノが届かない…! 格差社会への警鐘を鳴らす『バルス』

『バルス』(講談社) 『再生巨流』『ラストワンマイル』(ともに新潮社)といった作品で物流業界を描き、『ドッグファイト』(KADOKAWA)でグローバルなネット通販企業と日本物流会社の軋轢を取り上げ、社会派エンターテインメント小説として発表してきた楡周平。最新長編『バルス』(講談社)もまた現代日本の物流システムと深刻な社会問題を題材にしたハイパーリアルな小説だ。

 タイトルになっている「バルス」という言葉にアニメーション映画『天空の城ラピュタ』を思い起こす人は多いだろう。「バルス」は主人公たちがクライマックスで唱える有名な“滅びの呪文”だが、本作においてバルスとは、テロを仕掛けた人物が自称する名だ。そして、その者が滅ぼしたかった“世界”は、この現代の日本社会である。

 最初に物語の視点人物となるのは、一流大学に在籍しながら就職活動に全敗して就職浪人をすることになった百瀬陽一。世界最大のネット通販企業「スロット」で一時的に派遣として働くことになった彼は、そこに日本社会が直面する大きな“闇”を見る。豊富な商品を安価に販売し、配送料もかからず、翌日配送をも…

2018/5/20

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バルス / 感想・レビュー

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starbro

楡周平は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、経済テロパニック非正規就活ミステリ、400P弱一気読みしました。これだけ売り手市場でも格差は拡大しているのかも知れません。私は、ほとんどア●ゾンの売上には貢献していませんが、依存症の人は増殖しているんでしょうね。タイトルの『バルス』がジ●リ由来だとは、思いませんでした。

2018/05/22

utinopoti27

ネット通販業界の巨人「スロット」の収益構造を支える非正規労働者たち。本作は、劣悪な環境で使い捨てにされる彼らの現状を背景に、持つ者と持たざる者の格差を作り出した、日本の雇用制度の歪みに焦点をあてた社会派ミステリだ。物流システムに仕掛けられたテロ。犯行声明を出した「バルス」と名乗る人物とは何者か。そしてその目的とは・・。今や労働人口の4割を占める非正規雇用。日本経済は、もはや彼らなくして成り立たない。政治に無関心と言われる若者世代にはぜひ本書を手に取って、自らの、そして日本の将来を考えてもらいたいものだ。

2019/12/02

まこみん

現代社会に起きている問題点を改めて思う。どこからみてもアマゾンと窺えるアメリカ資本のネット通販会社スロット。そこで働く派遣労働者は代わりのきく使い捨て駒で、社員でさえ簡単に解雇される。大手企業の正社員だからといっても定年迄勤められるとは限らないし、一旦レールから外れると正規雇用社員には簡単には成れない。そして将来、日本はそんな人々が溢れ衰退の一途を辿る。正規、非正規なんて区別ができたのはいつ頃だったか。大企業に都合の良い雇用体系へと少しずつの変化が、貧富の差の拡大をもたらした。何とかしたい、ラストは願望。

2018/12/09

紫陽花

アメリカ企業・アマゾンをモデルにした小説。数年前にヤマト運輸がアマゾンの取扱いをやめましたが、宅配料金問題、派遣・非正規雇用問題を分かりやすく描いていると思います。経済小説としては面白かったです。犯人が誰かといった推理小説面は普通の内容でした。

2019/09/30

ゆみねこ

就職浪人となった大学生・百瀬陽一はネット通販会社の物流センターでバイトを始めた。派遣労働者の過酷な職場環境、物流企業の苛烈な現場。「バルス」と名乗るものが宅配トラックにテロを仕掛けた。私はネット通販をほとんど利用しませんが、日本のこれからに大きな警鐘を鳴らす作品。「ドッグファイト」の続編とも言えるかな。

2018/06/16

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