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本のエンドロール

本のエンドロール

本のエンドロール

作家
安藤祐介
出版社
講談社
発売日
2018-03-08
ISBN
9784062209885
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「本のエンドロール」のおすすめレビュー

〆切の後にも、物語がある――奥付に載らない裏方たちの奮闘記

『本のエンドロール』(安藤祐介/講談社)

 近年、出版業界を舞台にした小説が増えている。その多くは、作家や編集者などの“本の中身”を作る人々を主人公に据え、本が売れない時代に、少しでもいい本を世に送り出そうと奮闘する物語だ。彼らは、“いい本”を作るために苦悩し、ときには〆切を破りながらも、渾身の原稿を完成させる。そして、最後には編集者が印刷会社の担当者に平謝りしながら入稿し、なんとか一件落着…という展開がお決まりだ。

 しかし、私はこうした物語を読むたびに「スケジュールが遅れた印刷会社の人はこれからどうするんだろう…?」と気になっていた。紙の本をこよなく愛する読者であっても、そうした印刷会社の仕組みや、そこで働く人たちの思いを知る人は少ないだろう。本稿で紹介する『本のエンドロール』(安藤祐介/講談社)は、そんな彼らの知られざる情熱を垣間見ることができる小説だ。

 主人公の浦本は、中堅印刷会社の営業。系列の大手出版社の編集部に出入りし、新しい受注を獲ることが主な仕事で、著者や編集者の要望を現場の職人たちに伝えるパイプ役でもある。しかし、彼は“いい本を作…

2018/5/10

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本のエンドロール / 感想・レビュー

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鉄之助

本を造る人。作家や編集者・出版社じゃなくて、印刷会社や製本会社にスポットを当てた、”目から鱗”の小説だった。奥付の手前、文字通り「本のエンドロール」見開き2ページに書かれた、実際にこの本を「造った」人たちの名前を見て心が熱くなった。「背固め・くるみ」という役割の人がいたり、「断裁」のプロも…1冊の本に携わる人数と職種の多さに驚愕。「作家さんも、本がどんな風に作られているか驚くほど知らない」と印刷会社の社員は言う。本は生み出すもの。本文で本づくりを「助産師」のワザに例えているのは、その象徴だ。→続く

2019/09/14

ウッディ

タイトルから予想していた内容と大きく違った印刷会社を舞台にした熱いお仕事小説でした。日々の仕事を滞らせずに進めることは大切だけど、それだけでは面白くない。主人公の浦本は、印刷会社の営業マンとして良い本を作りたいという夢を語る。顧客の無茶を受け入れ、工場に無理を押し付ける浦本に反発する工場の面々も、自分たちも本作りに携わっていることを理解し、誇りを持つようになる。一冊の良い本を作るために、それぞれの持ち場で情熱を傾けた登場人物たちがいることを忘れないように、本のエンドロールがある。とても面白かったです。

2018/10/23

青乃108号

衰退の一途をたどる、紙の本。そんな本作りに携わる、数々の人々の思いと仕事ぶりを描いた物語。良い話ではあるが、仕事の息抜きに読むには、ちとしんどい。読みながら仕事させられてるようで。こんな苦労をかけて出来上がった本に、いつも対価を支払わず図書館本で読んでしまって申し訳なくもある。でも、俺はデジタル本よりはやっぱり、紙の本が好きなんだなとも改めて思えたよ。

2022/05/29

あきら

想像以上にめちゃめちゃ面白い本だった。 最近読んだ仕事系の話では一番です。 自分は紙の本が好きで、ますます好きになりそう。 出版・印刷業界で奮闘する人間達を描いた、とっても熱い物語でした。

2021/07/04

Tanaka

本の印刷会社のお話。奥付って気にしたことなかったけど、本だけでなく、色んな手元にあるものの奥には色んな人の苦労や手間があるんだとしみじみ

2022/02/23

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