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文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

作家
京極夏彦
出版社
講談社
発売日
1998-09-14
ISBN
9784062638876
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「文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)」のおすすめレビュー

「17年待った甲斐があった!」京極夏彦「百鬼夜行シリーズ」最新作に圧倒されたファンが魅力をたっぷりと解説

『鵼の碑』(京極夏彦/講談社)

 第一報を聞いた時、耳を疑った。歓喜に全身が震えた。京極夏彦による大人気シリーズ「百鬼夜行シリーズ」、その最新作がついに発売されるというのだ。その名も『鵼の碑』(京極夏彦/講談社)。というか、ファンならば、17年前からそのタイトルは知っていただろう。初めてタイトルが発表されたのは、2006年に刊行された前作『邪魅の雫』の巻末予告でのこと。その後も、サイドストーリー集『百鬼夜行 陽』などで、その内容が匂わされ、ファンたちは「いつ発売されるのか」「早く読みたい」とずっとその刊行を待ち続けてきたのだ。

「百鬼夜行シリーズ」は、1994年に刊行された『姑獲鳥の夏』から始まる長編推理小説シリーズだ。戦後間もない昭和20年代の日本を舞台に、古本屋「京極堂」店主であり、武蔵晴明神社の宮司である陰陽師・中禅寺秋彦が妖怪に関連して起こる不可解な事件を解決していくこのシリーズは、おどろおどろしくもコミカル、そして、壮大。ミステリーであり、妖怪小説であり、民俗学や史学、論理学、哲学の視点が絡んでくる唯一無二のストーリーは、1作目から30年を…

2023/9/14

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【京極夏彦特集】寄稿&インタビュー「拝啓、京極夏彦様」/荒井良さん

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。

 京極夏彦とはどのような人物なのだろうか。それは京極ワールドを楽しむ私たちにとって、永遠の謎である――! 京極夏彦さんと共に作品を作り上げた方々、またご親交のある作家の皆さまに、京極さんとの思い出や京極作品の魅力について伺いました。今回は荒井良さんです。

 まず、作家生活30周年という大変な節目に心から「おめでとうございます」と申し上げたいと思います。  初めてお会いしてからもう四半世紀以上経ちましたが、京極さんは僕にとって最も影響力がある方ですし、それだけの大きな存在が身近にいてくれるのは何よりもありがたいことです。  初対面の場は関東水木会[*]の懇親会の席でした。たしか『魍魎の匣』が出たばかりぐらいだったと記憶しています。その折、僕の妖怪張り子の初作である「古籠火」を見ていただいたところ、ちょうど文庫化の話が出ていた『姑獲鳥の夏』の表紙をやってみませんか、と声をかけていただきました。  思ってもいなかった嬉しいお話でしたが、同時に「古籠火」が仕上がったタイミングを思うと、自…

2023/9/11

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【京極夏彦特集】今に連なる原点にして、紡がれる伝説。「百鬼夜行」シリーズ全作ガイド

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。

 「巷説百物語」「書楼弔堂」など多くの人気シリーズを抱える京極夏彦さん。その代表作といえば何といっても累計1000万部を超える「百鬼夜行」シリーズだ。17年ぶりの長編『鵼の碑』刊行を間近に控えた今、シリーズの歩みと既刊の内容をおさらいしておこう。 *束幅・重さは編集部調べ。環境によって若干の誤差がある場合がございます。

文=朝宮運河

エンタメの歴史を変えた伝説的シリーズの歩み

 1994年9月にシリーズ第1作『姑獲鳥の夏』が刊行されてから29年。「百鬼夜行」シリーズは長編9作、中短編集6冊を擁する一大シリーズへと成長した。今日までの累計発行部数は1000万部以上。2005年には『姑獲鳥の夏』が映画化されたのに加え、日本推理作家協会賞受賞のシリーズ第2作『魍魎の匣』が07年に映画化、08年にテレビアニメ化、19年に舞台化されている。昨今の妖怪ブームを牽引し、各界のクリエイターに影響を与え続ける「百鬼夜行」シリーズは、日本のエンターテインメントのあり方を大きく変えた。  物語の舞台は、戦…

2023/9/10

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文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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Tetchy

一読、実に真っ当な本格ミステリというのが率直な感想だ。この京極堂こと中禅寺秋彦の「憑物落とし」は興趣くすぐる演出で新たな本格という風な捉えられ方をしたが、実は黄金期ミステリ時代への原点回帰的作品なのだ。理詰めで構築される博覧強記の京極堂の薀蓄語りとどこか情緒不安定な“信頼できない”語り手である関口の妄想めいた語り口が程なくブレンドされており、デビュー作とは思えない独自の作品世界と文体を既に確立しているのが素晴らしい。実に私の好みと合った作品だが、メインの謎に関する真相はいささか期待はずれ感が否めない。

2010/04/07

ヴェルナーの日記

この小説は、推理小説として稀有な存在だ。冒頭から第2章に至る90頁ほどまで、事件のあらましが殆ど語られない。ただ京極堂の文芸批評論の薀蓄を語っているだけなのだ。しかし、その内容が面白い。近代文芸論を解体している。京極堂風にいえば、憑物落ししているのであって、つまり推理モノ好きな読者(推理モノ憑き)に対して、憑物を落としている…… 恐れ入谷の鬼子母神だ。読感は、『新世紀エヴァンゲリオン』をイメージしてしまう。清純な少女と恋に落ちた女と子を持つ母という3つの性が、互いに責めぎ遭っている。まさに業と呼ぶべきか。

2016/01/13

徒花

すげえ久しぶりに読了。映画も見たはずだが、びっくりするほど内容を覚えておらず、自分の脳みそに失望したとともに感謝する。読み返してみると、じつは小説としての構造自体は非常にシンプルで、事件は一つしか起きていないし、登場人物もさほど多くないので、冒頭に登場人物紹介がなくても特に混乱しない。ページ数が多いのはひとえにウンチクがたくさん出てくるからだが、そのウンチク部分も改めて読み返すと非常に分かりやすく書いてあり、あくまで読者目線になって説明されるのでこの大長編ながら「読みにくい」と感じることはないはずだ。

2016/11/24

absinthe

混乱期をやっと乗り越えた戦後日本。古い日本の伝統的な神秘的世界観と、現代の科学的世界観を上手に融合させたミステリー。主人公、京極堂の知識が次々と披露され読者を圧倒するが、流れは決して解りにくくは無い。登場人物はだれもがどこかひと癖あって興味深い。とても厚いので、手にとるには勇気がいるが、この手のミステリーが好きなら後悔はしないだろう。解説するまでもない有名小説。

2015/10/21

nobby

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」ほぼ10年振りの再読は聞いてニヤリな言葉から。その分厚さが多岐に渡る説明で溢れるのは覚えていたが、その理解が心地よかったのは成長の証か(笑)二十箇月も身籠っているという娘、それは失踪中の夫の呪いなのか…個性的で思い出す都度笑える面々の登場に加え、不可思議な雰囲気にのめり込むこと必至。そしてラスト訪れる驚愕!ありえないの一言になりかねない謎解きを、単なるキャラ付け思わせる薀蓄や設定で、ぐうの音言わさず補完する様が素晴らしい!

2017/06/18

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