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屋烏 (講談社文庫)

屋烏 (講談社文庫)

屋烏 (講談社文庫)

作家
乙川 優三郎
縄田一男
出版社
講談社
発売日
2002-02-15
ISBN
9784062733786
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屋烏 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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しんたろー

温かい血が通った短編が5つ…忘れられない恋を抱えた中年武士がお家騒動に巻き込まれる『禿松』、お家の為に婚期を逃した女の『屋烏』、放蕩息子が倒れた父の再起に奮闘する若い後妻と関わる『病葉』、家長である兄に逆らえず出奔した姪を連れ戻しにきた弱気な弟『竹の春』、敵討ちで34年も離れていた夫婦の『穴惑い』…武士の「家」という形を通じて「真の愛情とは?幸福とは?」と問う内容は、情景も心情も流麗な文章でじんわりと心に響いてくる。芯の通った女たちが素敵で、男の弱さや意地も身に沁みた。名作『生きる』には及ばずとも秀作だ。

2020/01/07

じいじ@只今、リハビリ中

良い小説を読んだなぁ、という充実感に浸っています。五つの短篇、どれもが深い味わいの傑作です。いま読み終えた【穴惑い】の心地よい余韻がまだ残っています。結婚2か月後に仇討ちで旅立った夫が、本懐遂げて34年ぶりに帰ってきます。逆境にめげずじっと夫を待つ妻の心の強さ、互いを思いやる優しさ、武士の忠誠心、男の意地…時代小説のすべてが凝縮された傑作です。表題作【屋烏】は、武家の長女が父亡き後、婚期を犠牲にして御家の再興を果たす物語で感動の一作です。時代小説は苦手…という方でも、ぜひ読んで欲しいお薦めの一冊です。

2018/08/20

chimako

屋烏とは 人を深く愛するとその屋根にとまっているカラスさえも愛おしくなると言う意味らしい。ここに納められている5つの短編には人を想う暖かな空気が漂っている。忘れられない初恋の人を心配しながら支えられた妻の声を聞く。嫁き遅れとなった身の上に降ってくる女としての幸せ。我が子とも思う姪に注ぐ命を懸けた情愛。薬料のため我が身を差し出した義母と病身の父との清らかな情。嘘も秘め事も全てを包み込む深い愛に読み手の心にもぽっと灯りがともるような読後感。しっとりと大人の小説だった。

2018/06/11

nakanaka

五編から成る短編集。どれも傑作です。五人の主人公はどれも何かを背負った者ばかりですがいずれも終わり方は清々しいものとなっており気持ちのいい読了感です。過去の女性への未練を断ち切れない男、婚期を逃した女性の苦悩、強者への服従と将来への諦め、親の病気による突然の没落、人生の終末を迎えた夫婦。時代小説であるものの現代の我々にも十分に共感を覚える内容のものばかりでした。特に気に入ったのは幕末が舞台の「竹の春」でした。あきらめにも似た境地にいた50過ぎの独身男に希望の光が射す展開には心が奮い立つ思いでした。

2018/08/20

アッシュ姉

美しい文章で綴られる上質な味わいの時代小説集。逃れられない武家の宿命、果たさざるを得ない役目、家柄や身分に縛られて思うように生きられない辛さ。不遇の立場、窮屈な暮らしのなかでも己の矜持を見失わず懸命に生きる姿に胸を打たれる。時代を越えて登場人物たちに心を寄せ、どうかどうかと祈るような気持ちで読んでいた。ようやく春の陽が射し込んできた様子に静かな感動が押し寄せて深い余韻が残る。全編良かったなか、やはり表題作がもっとも印象的。夫婦の絆を感じられる「禿松」「穴惑い」も面白かった。

2019/12/20

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