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麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

作家
恩田陸
笠井潔
出版社
講談社
発売日
2004-01-16
ISBN
9784062739276
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「麦の海に沈む果実 (講談社文庫)」のおすすめレビュー

少女が迷い込んだ「三月の国」で起こる殺人事件――恩田陸『麦の海に沈む果実』

『麦の海に沈む果実』(恩田陸/講談社)

『麦の海に沈む果実』(恩田陸/講談社)は、不思議な世界観に夢中になる読者が多く、長きにわたって読み継がれている名作の一つである。

 恩田陸作品には『夜のピクニック』『六番目の小夜子』や『ネバーランド』など「学園モノ」が多い。その中でも、ファンタジックな要素を含んでおり、他とは少々色合いの異なるのが本作だ。

 ジャンルを一言で説明するのが難しいのも、特徴だ。ホラー要素もあり、殺人事件が起こるのでミステリーでもある。また、見方によっては青春モノかもしれないし、恋愛要素もある。

 舞台は北海道のようだが、どこかこの世には存在しない異国の地の、異国の学園生活を描いているようにも思える。作中にも名前が登場する『鏡の国のアリス』のような、一種独特の世界観を持っているのだ。

 とある全寮制の学園に転入して来た美しき少女・理瀬(りせ)。湿原の中にあり、外界とは隔絶されたその学園には、独自のルールが多く存在し、様々な「いわく」を持つ特別な子どもたちが過ごしていた。

 学園には、「三月以外の転入生は破滅をもたらす」というウワサがあり、2…

2018/10/16

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麦の海に沈む果実 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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さてさて

ここは日本なのだろうかと思えるような不思議な学園世界が描かれるこの作品。その中で留学生のヨハンの存在が逆にここが日本であることを暗示させてもいきます。そんなヨハンが放つ表現。『日本語って視覚的にゴージャスな感じがしていいですよね。漢字は贅沢な絵みたいだし、ひらがなは無邪気で色っぽい』という表現はとても新鮮です。物語は後半にかけて一気に展開する中で、理瀬にまさかのキャラ変が発生!!そして、読者を振り落とそうとするかのように急に疾走を始める物語。これぞ恩田さんの真骨頂とも言うべき素晴らしい作品だと思いました。

2021/12/19

SJW

消化不良に終わった「三月は深き紅の淵を」の続編という事で読むのが少し憂鬱だった。しかし「三月は...」連作短編だったがこちらはミステリーの学園ファンタジー長編で、恩田さん得意の学園もの、演芸、音楽などが散りばめられ、修道院跡に作られた架空の中高一貫校で殺人事件が起こり、湿原の中に閉じ込められており抜け出せないというミステリーにはぴったりの舞台。読んでいるとデジャブ??と思ったが、「三月は...」の最期の章が「麦の海に...」の予告編になっていた。これは恩田さんが試した○○的円環という手法らしいが複雑(続)

2018/04/10

パトラッシュ

リアルとファンタジーの狭間に閉じ込められた世界を構築させては、恩田陸の右に出る作家は少ない。ダークな風土に孤立する謎めいた学園が舞台のドラマは、そんな著者の手腕が最高に発揮されている。次々と生徒が死んだり失踪しても騒ぎにならず、外の情報が全く入ってこないのに誰も疑問に思わず、校長が男になったり女になったりする。そんな狂気と正気が入れ替わってしまう日常を読者も当然として受け入れてしまい、いつの間にか自分も時の流れという海に漂っている。人の愚かさ醜さを超越した永遠の時間こそが本書のテーマだと気付かされるのだ。

2024/01/22

ムッネニーク

68冊目『麦の海に沈む果実』(恩田陸 著、2004年1月、講談社) 『三月は深き紅の淵を』の中で描かれた理瀬の物語を膨らませ、長編にしたかの様な作品。登場人物は『三月は〜』と共通しているが、作中で起こる事件や物語の結末はかなり異なっている。閉ざされた環境と数多の謎が描かれた、ミステリーの魅力に溢れる作品ではあるが、クライマックスへと向かうにつれてどんどん小さく纏っていってしまったという印象を受けた。 「そう、私たちは皆、灰色の海にゆらゆらと漂っていた。」

2022/11/05

ダイ@2019.11.2~一時休止

三月その2。前作の短編の中の一編のキャラで長編。相変わらずよくわからない箇所もあったが面白かったし続編に進もう。

2015/07/04

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