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メルロ=ポンティ (現代思想の冒険者たちSelect)

メルロ=ポンティ (現代思想の冒険者たちSelect)

メルロ=ポンティ (現代思想の冒険者たちSelect)

作家
鷲田清一
出版社
講談社
発売日
2003-07-11
ISBN
9784062743563
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メルロ=ポンティ (現代思想の冒険者たちSelect) / 感想・レビュー

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nbhd

現象学が何たるかはぜんぜんよくわかってないけど、メルロ=ポンティが提示した『肉』という概念にはそそられるものがある。「メルロ=ポンティは〈肉〉が2つに裂け、その裂けたものがまたたがいに覆いあい、折り畳まれるという事態のなかに存在の生成過程をみた」。豚のこま切れ肉をじっくり観察したような生活感がある。右手で左手に触れる、左手は触れられた“対象”であるのと同時に、右手を感じる“主体”でもある、の変奏。

2017/09/14

はる

以前より何度も手にし挫折しているメルロ・ポンティを鷲田さんからまた始めたいと思う。 メルロ・ポンティはあかるい、やわらかな哲学者である。霊長類研究の友がその思考に勇気づけられているという。53歳、アルジェリア独立の前年に没した。 あらゆる認識行為は人、文化、社会にある主体の生活世界への主観的確信にもとずくと考える現象学。確信成立の条件と構造を問う現象学的還元という行為を死の間際まで思索した。

2022/07/28

Bevel

二つの論点があると思った。心的なものから独立した物理学的な世界とも、現象を超越論的自我として客体的に統一されたものと見なす観念論的世界とも違う、行為の世界を立てること。所与の事実がその世界のうちにある具体的でリアリティを持った構造(移調可能性、乗り越えの運動、始原的習慣としての身体、可逆性、含み込み)を指示すること。行動の世界は、構造によって知られるが、くみ尽くされることはない。行動の世界は時代を反映し、構造を示すことは弁証法の動因となる。だから、説明ではなく記述、学説ではなく試みが問題となる。

2014/08/22

富士さん

初めて読んだときは、一般向けの本でも名高い鷲田先生だからきっと分かりやすいだろうと期待して読んだのですが、雲をつかむような難解さで、ただ自分の頭が悪いだけかと思っておりました。しかし、今回読みなおしてみて、鷲田先生も所詮、簡単なことを簡単に言わない俺格好いい的価値観を受け入れた普通の近代思想研究者に過ぎなかったのだと知りました。ただ、内容としてはとても濃いもので、N.ルーマンの考えによく似ているように見えてびっくりしました。ルーマンがシステム論に現象学的社会学を取り入れたという意味がよくわかります。

2019/05/17

グスタフ

先日奈良へ行った折、阿修羅像を間近で見る機会を得た。そのフォルムの完全性、美しさにからめ取られ、立ち尽くし、像と一体化した自分がそこにいた。「身体と世界が同じ〈肉〉からできている」というメルロの表現は、まさしくそのことかと思う。バルザックやセザンヌ等の目線と並び現象学は「普段の辛苦」とメルロは考える。たしかに、おなじ現象学のフィールドにいながら、世界を道具に集約させるハイデガーに比べると、メルロの視線や表現力のなんと多彩で豊かなことか。

2013/06/30

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