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シルエット (講談社文庫)

シルエット (講談社文庫)

シルエット (講談社文庫)

作家
島本理生
出版社
講談社
発売日
2004-11-16
ISBN
9784062749268
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シルエット (講談社文庫) / 感想・レビュー

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三代目 びあだいまおう

シルエット。横顔、影絵。著者デビュー作にして原点。15才の著者が紡ぐ恋愛模様は儚く切ない。思春期という、子供が大人になるためのいわば『サナギ』の時、幼虫が美しき蝶や逞しきカブトムシに変化してゆく時に似た、ドロドロと脆い青春時代の恋愛と感受性を同年代の著者が紡ぐ。子供ではない!大人でもない!人生の先など見えなく想像さえできなき今の自分の『今』わかって欲しい、わかるはずない!ダメとわかっているけど止められない未熟さと、成熟したかのような自我と後悔。バランス危うい幼き恋模様を赤裸々に描く詩的青春恋愛物語‼️🙇

2019/10/20

おしゃべりメガネ

島本さんのとても初々しいデビュー作です。とにかく最初から最後までフレッシュさが溢れんばかりの瑞々しい短編集で、こういう作風から今のグイグイとした作風に変化していくんだなぁと、まるで子供の成長を懐かしく振り返るような感覚で読了でした。個人的な勝手な思いですが、やっぱり『ばなな』さんの影響は少なからず見え隠れしてるのではないかなと。10年以上も前に書かれた作品なので、時代の流れや古さは感じずにはいられませんが、そこがまた最近の作品では味わうことのない新鮮さがあったように思えます。懐かしいキモチになる作品です。

2016/09/24

黒瀬 木綿希(ゆうき)

中編一本と掌編が二本。いずれも初期に発表された恋愛小説で『ヨル』は短いながらも、十五歳の時に書いたデビュー作とは思えないほど強烈。神谷のあの行動だけで彼がどんな人物か伝わりますし、それは『シルエット』の冠やせっちゃんにも言えることだと思います。人を求めることの喜びや切なさ、求められた際の満足感やちょっとした優越感など、十代の少年少女を等身大に描くことが既に十八番となっている印象でした。

2020/03/04

青蓮

島本さんのデビュー作「シルエット」「植物たちの呼吸」「ヨル」3編収録。近年発表された作品と比べると、当然のことながら粗削りだし、未熟な部分もあるけれど、それでも十代でこのような作品を書けるのは本当に凄い。持ち前の言葉のセンスの良さ、瑞々しい感性がキラリと光る。表題作の、お互い想い合ってるのに、どうすることもできない感情のすれ違いがとても切ないです。こんな恋愛ができるのはまだ若いからかなとも思う。併録の「植物たちの呼吸」の雰囲気がとても好き。振り返ってみると、島本さんの作家としての成長振りが良く解る1冊。

2016/05/25

優希

等身大であり、若さを感じました。決して幼いわけではないけれど、感性が瑞々しいのです。それでいながら切なくて苦しい。冠くんは人を求めるよろこびや苦しみを知っているからこそ女性の体に触れることができないのだと思います。それを受け止めるには高校生じゃまだ早かったのでしょう。触れてはいけない硝子のような恋愛だから繊細な美しさを放っているのだと感じました。シルエットは心の中に残るけれど時にはほろ苦くもなるのですね。10代の頃に書いた作品が3編おさめられていることもあり、島本さんの原点を感じました。

2015/10/20

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