KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

作家
伊坂幸太郎
出版社
講談社
発売日
2007-05-15
ISBN
9784062757249
amazonで購入する Kindle版を購入する

「チルドレン (講談社文庫)」のおすすめレビュー

伊坂幸太郎初心者にオススメ! 口達者な家裁調査員が巻き起こす、ちょっぴりファニーな連作短編集

『チルドレン』(伊坂幸太郎/祥伝社)

 口達者な奴はどいつもこいつも癪に触るものだが、伊坂幸太郎氏が描いたこの男だけはどうにも憎めない。『チルドレン』およびその続編『サブマリン』に登場する、超マイペースな男・陣内。いつでも彼は巧みな話術を武器に、周囲を自分のペースに引き込んでいく。一見、彼は、思い付いたことをただひたすら話続けているだけの調子の良い人間にしか思えないかもしれない。しかし、陣内を知れば知るほど、彼の独自の哲学とその正義感に、ほんの少し、尊敬の念を抱いてしまう。

 陣内が初登場する『チルドレン』は、連作の短編が5作収載されている。冒頭で描かれる「バンク」は、陣内がまだ大学生だった頃の話。陣内と友人・鴨居、盲目の青年・永瀬が、たまたま立ち寄った銀行で、銀行強盗に出くわし、人質となる物語だ。普通だったら、銀行強盗などに出くわしたら、恐怖のあまり萎縮してしまうところだろうが、陣内のモットーは、何事にも立ち向かうこと。銃を構える強盗たちに「この俺が、大人しくおまえたちの言う通りになると思うなよ」と歯向かったり、ともに強盗を取り押さえる…

2017/12/24

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

「チルドレン (講談社文庫)」の関連記事

「最高のエンターティナーにして、出版界のフランシスコ・ザビエル!」――フワちゃんが心酔する伊坂幸太郎はいろいろすごすぎる

インタビュー:フワちゃん

初めて読んだ大学1年生のときからずっと、“伊坂ハイ”が続いているというフワちゃん。スト-リーの面白さはもちろん、エンターテインメントとして、毎回違った趣向で読者を楽しませようとする、その姿勢から多大な影響を受けているという。人気YouTuberのフワちゃんが伊坂作品から受け取ったものとは?

伊坂作品は、価値観のジュエリーボックス とんでもない角度からの考え方を幾度となく見せつけられて、 影響されないわけないよね

東京都生まれ。大学在学中にお笑い養成所に入学、お笑いの道へ。コンビ解散後、ピン芸人として活動中の2018年4月にYouTube個人チャンネル「フワちゃんTV/FUWACHAN TV」を開設。現在、登録者数は59万人超え。バラエティ番組への出演多数。@fuwa876   

「すごいの、みつけちゃった!」って思った、初めて伊坂さんの作品を読んだのは大学1年生の春休み。巷のみんながあまりにも『アヒルと鴨のコインロッカー』がおもしろい!って言うので、ヴィレヴァンに行って探したの。

 あのヴィレヴァンの黄色のポップで…

2020/7/8

全文を読む

【「伊坂幸太郎の20年」特集番外編】『クジラアタマの王様』でタッグを組んだ川口澄子が語る制作裏話

インタビュー:川口澄子

昨年7月発売になった伊坂幸太郎さんの『クジラアタマの王様』は、現実的な会社員小説の合間に、異世界RPG調のファンタジーコミックが挟み込まれる前代未聞の作品。伊坂さんが10年以上前から構想し、自ら持ち掛けた唯一のコラボレーション企画でもある。その『クジラアタマの王様』でコミック部分を担当したのが、川口澄子さんだ。もともと大の伊坂幸太郎ファンだったという川口さんに本作の制作裏話を訊いた。

一ファンとして、ほとんどの作品を読み込んできた伊坂幸太郎さんだからこそ、お受けできた仕事だと思います

かわぐち・すみこ●1973年、兵庫県生まれ。筑波大学芸術専門学群美術専攻洋画コース版画分野卒業。画工。書籍や雑誌、パッケージ等で挿絵や図解、イラストルポを手がける。著書に『お茶のすすめ お気楽「茶道」ガイド』、『七十二候美味禮讚』(三浦俊幸氏と共著)など。装画近刊に『大名倒産』(浅田次郎)。  

 小説で描かれる“現実”と、セリフのないコミックパートで描かれる“夢”が、交互に展開していく『クジラアタマの王様』。川口澄子さんが伊坂さん…

2020/7/6

全文を読む

関連記事をもっと見る

チルドレン (講談社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

5つの作品からなる連作短編集。全体を通読するなら、長編小説として読むこともできる。一貫してきわめて軽快で、エンターテインメント性に富んだ小説群だ。その代わり、あまり深刻にリアリティを求めるのは禁物。例えば第1話の「パンク」や第2話の「チルドレン」だが、いくら何でも日本の警察はそこまで甘くはないだろう。また、全編を通して陣内が時として奇矯な行動に走り、そのことが結果的には吉となるのだが、彼が小説の中で果たす役割は、典型的なトリックスターのそれだろう。一方、物語群の中で重心として機能しているのが永瀬である。

2017/08/17

ろくせい@やまもとかねよし

ひょんなことから友人となった3人をめぐる5つの物語。人間個人は共通化できない多様なものとの表現を感じた。物語のそれぞれの筋を、常識的な認識を全く裏切る事実として描き、その事実のなかで普遍化できない人間個性を表現する。主人公に「健全な育成とか平和な家庭とか全部嘘だ」と云わせ「適当が一番」を繰り返させる。「適当」は、文語ではもっとも合っている着地点を示す。一方、口語では無理強いしない着地点とも示す。この2つの曖昧な意味をもつ「適当」をうまく用いる感じがした。障害者が吐露する心境とそれを慮る人たちには感動した。

2019/07/27

HIRO1970

⭐️⭐️⭐️伊坂さん通算8冊目。今回は短編集かと思いきや、伊坂さんなので毎度ながらやはりそう単純では無くて、全ての登場人物は繋がっていながら、話は過去や現在を行き来しながら非日常や日常に潜む謎や疑問を推理しながら紐解いていくお話でした。他の作品とのリンクも沢山あるのと舞台が仙台なのもあり、何と無くジョジョシリーズの荒木さんのマンガに通ずる感じがいつも有ります。複雑系でミステリアスでスリルやアドベンチャーがあって主人公のキャラが立っている。陣内がジョジョ立ちしていて、オラオラしているように読めました。

2016/02/08

またおやぢ

「歴史に残るような特別さはまるでなかったけれど、僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。」毎日が特別に思えた子供の頃。そんな子供の頃の直向きさを持ち続けている陣内。彼に影響をうけ、日常の中に奇跡を見出していく登場人物達は、当に陣内“チルドレン”ということか。時空を超えて不連続に展開していたはずのストーリーが、いつの間にか繋がっていき、一つのテーマに集約される。洗練された構成が何とも心にくく、読了後ふわりとした温かさに包まれる一冊。

2014/05/09

ゆきねこ

久しぶりの伊坂幸太郎。短編集のように見せかけた長編小説。面白かったです。相変わらず、超のつく個性的な登場人物。おしゃべりで理屈にならない屁理屈で周りを煙に巻く魅力的な登場人物に、しっかり者の女の子。ミステリーのような犯罪もあります。他の作家さんと違って、ずっと手元に置いておきたくなるのは、いつか、違う作品で、鴨居や陣内や武藤に会えるかもしれないと感じるからでしょうか。

2017/10/01

感想・レビューをもっと見る