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逃亡くそたわけ (講談社文庫)

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

作家
絲山秋子
出版社
講談社
発売日
2007-08-11
ISBN
9784062758062
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逃亡くそたわけ (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

博多から迷走しつつ薩摩半島の長崎鼻まで、九州内を縦断するロード・ノベル。読んでいる途中も、読後もまた、そこはかとない哀しみに包まれたままに小説世界は閉じられる。そして、ここから行き着く先はない。では、帰るのか。何処に?「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」と囁き続ける脅迫世界に?本書はまた精神医療に根源的な疑問を投げかけもする。彼らは療養所を「プリズン」と呼び、「テトロピン飲み続けたら廃人になる」と認識している。そして、この深刻さは語り手である「あたし」の佐賀弁で一層強いリアリティを持つのである。

2014/07/15

ソルティ

強烈なタイトルと、主人公が精神病ってことで読もうと思った本。精神病院に入院したら逃亡したくなる気持ち分かる。やる事もない、強い薬で廃人様になる⋯。花ちゃんとなごやんの関係がいい。ケンカもするけど干渉もせず思いやらず自分のことだけ考え、フラットだけど、逃亡の旅が終わったら離れると思うとさみしい。絶妙にいい関係。それと九州の方言、情景が絡み合っていい空気。映像化もいいかも。「「未遂したら友達やらちょっとしかおらんくなった」「大丈夫だよ。精神病くらいでいなくなる友達なんか、遅かれ早かれ別れる運命だったんだよ」」

2020/02/24

さてさて

『目的地なんかない。あたし達は二人とも、糸の切れた凧なのだ』。『精神病院』をコッソリと抜け出した男女二人が九州各地を転々と逃避行する様が描かれたこの作品。そこには、単純に旅小説とも言い切れない複雑な読み味を感じる物語が描かれていました。生き生きとした花田の博多弁の魅力を堪能できるこの作品。九州各地の観光地を巡る旅小説としての魅力も存分に味わえるこの作品。まさしくユーモラスに描かれていく物語の中に、主人公たちの心の中に潜む、もの悲しい感情がふっと浮かび上がるのを感じたなんとも言えない読み味を残す作品でした。

2023/03/22

しんごろ

精神病棟から男女2人が脱走して逃走する話。博多からどんどん鹿児島まで南下。それまでの過程がめちゃくちゃ。こんなことやあんなことして、コラコラとツッコミながら楽しく読めた。ラストはちょっと切ないけど、どこかずれてて噛みあってない。恋には発展しないかもしれないけど、2人には奇妙な絆が生まれたように思えた。花ちゃん、なごやんも病気が治るといいね。

2019/12/29

おしゃべりメガネ

久しぶりの絲山さん作品です。本作は読んだと思っていたのですが、意外と未読でした。メンタルを患って精神病棟に入院している「花」は気紛れに'脱走'を図り、道連れに同じく入院患者の「なごやん」を連れていきます。舞台は九州で、主人公の博多弁がバシバシと心地よく響いてきます。途中、クスリを貰いに立ち寄ったメンタルクリニックでの会話で『鬱の治り際は、案外長いから気をつけないといけない。何事も決めず焦らずのんびりと』と言われたのが、とても印象的でした。メンタルを患っても、とにかく焦らず気長に待つしかないんでしょうね。

2018/11/14

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