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スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

作家
辻村深月
出版社
講談社
発売日
2010-01-15
ISBN
9784062765565
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「スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)」のおすすめレビュー

『ハケンアニメ』の辻村深月が描く、クリエイターたちの苦悩と熱情『スロウハイツの神様』

『スロウハイツの神様』(辻村深月/講談社、上下巻)

 突然の私見になるが、私は辻村深月さんの作品が大好きだ。彼女が書く登場人物たちの感情は、どうにもならなくて心の奥に抱えていた苦しさや悲しさを思い出させ、そっと包んでくれる。とある作品の主人公の心情描写には、私が誰にも言わず、心の中で思っていたことを言い当てられたようでどきりとした。初めて彼女の作品を読んでからすぐに既刊を買い漁り、明日の予定も省みず深夜まで夢中で読み進めた。

 そんな読書体験は、読書好きならばみな、作家は違えど経験したことがあるはず。そしてその感情は『スロウハイツの神様』(辻村深月/講談社、上下巻)の主人公・赤羽環が敬愛する作家・チヨダ・コーキに向けるものと全く同じだ。本作の舞台はクリエイターやその卵たちが集う家・スロウハイツ。映画監督志望、漫画家志望などさまざまな夢を持つ5人が集まるこの家の持ち主が、すでにデビュー済みの脚本家・赤羽環だ。極度の負けず嫌いで人にも自分にも厳しい彼女が友人たちと住むこの家を、手塚治虫と当時まだ無名だった赤塚不二夫などが住んでいたトキワ荘になぞらえる…

2022/9/24

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村上春樹にミヒャエル・エンデ…物語とチョコレートの“いい関係”にひたれるおすすめ本

 古今東西、物語に描かれたチョコレートを見てみると、人とチョコのただならぬ関係が見えてくる? 『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』『芥川賞ぜんぶ読む』などの著作が話題の小説読み・菊池良さんに、チョコレートが登場する小説を教えてもらいました。

『ねむり』村上春樹

『ねむり』(村上春樹/新潮社)

 突然眠れなくなった「私」はその時間を埋めるように読書へ没頭する。彼女の身体に起きている変化とは? 元は『TVピープル』に収録された短編がバージョンアップ。カット・メンシックによる美しいイラストも見どころ。

ブランディーとチョコレートで読書を

 村上春樹の『ねむり』は「眠れなくなって十七日めになる」という印象的な書き出しではじまる。  歯科医の男と結婚して子どももいる「私」はある日突然、眠れなくなった。病院には行っていないが、それは不眠症ではないと「私」は感じている。それは「眠りにくい」のではない。彼女はほんとうに一睡もできなくなってしまうのだ。彼女の重大な変化に、家族は誰も気づいていない。 「私」は夜になるとベッドを抜け出して、ソファーに座り一人で『ア…

2020/2/13

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観た後に悲しみではなく幸せの涙を流せるのが“キャラメルボックス”の舞台 辻村深月×成井豊対談【後編】

■原作の“外側”も描き出す舞台版『スロウハイツの神様』

辻村深月(以下、辻村) 『スロウハイツの神様』の脚本も、成井さんからは事前に「環と公輝の物語に絞っていいですか」と聞かれていたのですが、第一稿を読んで、「えっ、全員がちゃんと生きてますけど!?」って思いました(笑)。

成井豊(以下、成井) 僕は、通行人とか、時代劇の斬られ役とか、記号にしかならない役をつくらないようにしているんですが、それはただ、役者に申し訳ないからなんですよ。ほら、映像と違って舞台は、どんなに小さな役でも、稽古と本番あわせて最低でも二か月近く拘束するでしょう。それなのに無名の役だったり、一瞬で出番が終わったりするのは、拷問だと思うので。どの役も、役者が心をこめて演じられるものにしたいんですよね。

辻村 その気遣いをもっていらっしゃるのが、素晴らしいです。

成井 気が小さいだけだと思うんだけど(笑)。でも、だから辻村さんの作品を読むと嬉しくなる。登場人物全員が、ちゃんと魅力的だから。

辻村 そういう成井さんだから、脚本に新しく書き加えてくださったシーンも嬉しかったんです。たとえば、回想…

2017/7/10

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成井豊(以下、成井) 読みましたよ、『かがみの孤城』。いやあ、これは力作でしたね。

辻村深月(以下、辻村) ありがとうございます!

成井 ファンタジーの王道である「行きて帰りし物語」。もうだいぶやり尽くされてしまった感があったところに、この手があったか! と驚かされた。こちらの先読みをことごとく覆して展開するので、翻弄されまくりでしたよ。たとえば、主人公のこころが、せっかく異世界に誘われているのに、…

2017/7/10

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スロウハイツの神様(上) (講談社文庫) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

辻村深月の本を読むのはこれで2冊目だが、人物造詣がうまいと思う。「ときわ荘」を想起させる「スロウハイツ」に住む脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちは個性強く描かれている。人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ…あの事件から10年。チヨダコーキの天使が現れてから、下巻で何が起こるのか…

2010/12/29

パトラッシュ

漫画『めぞん一刻』の一刻館に、トキワ荘のようなクリエーターとその志望者が集まったらどんな騒ぎになるか。いずれも目標へのこだわりが強烈なくせに、生活や恋愛で無能ぶりをさらけ出しているのだから。響子さんにあたる環と五代役のコーキの尋常でない過去を軸に、それぞれの仕事や私生活での衝突や困難が相次いで物語が紡がれていく。殺人も暴力も破滅もなく、つまらぬ意地っ張りや対人関係の失敗など日常的エピソードを積み重ねながら、次は何かとワクワクさせる筆力は作者の腕だ。そして少しずつ皆の言動の矛盾や齟齬が暴かれていく。(続く)

2021/10/03

風眠

読み始めはなかなか読み進められない感じだったけれど、登場人物のことが少しずつ分かってくるにしたがって、この物語の世界にするすると入っていけた。漫画家、脚本家、画家などのクリエイターたちが住むスロウハイツの住人達をめぐって、それぞれの過去や悩みが描かれているが、上巻だけでは正直おもしろさが分からなかった。ここでやめずに下巻まで読むと、ぐんと面白くなる。上巻は物語のラストに向かっていく伏線だと思って読むといいかもしれない。

2012/12/02

nobby

相変わらずのスロースターターな展開。スロウハイツ住人の背景の描写でほぼ終わりなんだけど、個性的なメンツが揃ってる。全く何が起こるのか予想出来ないが(笑)最後の最後でスゴく期待持たされて早速下巻へ!少しもしかしたらと思ってることがあるんだけど、はたしてそうなのか!?

2013/11/14

どんふぁん

2020年1月17日読了。期待いっぱいで読み出したからか、このスロウさにつまづいてしまった。下巻ではみんな幸せになって欲しい。

2020/01/17

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