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ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)

作家
佐藤亜紀
出版社
講談社
発売日
2010-05-14
ISBN
9784062766517
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ミノタウロス (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

希代の物語の語り手、佐藤亜紀の人気作。何よりも構想の巧みさと雄大さに感嘆する。物語はロシア革命の混乱期にあったウクライナを舞台に展開する。しかも、キエフやオデッサならともかく、日本の読者のほとんどが聞いたこともないようなミハイロフカやエリザヴェトグラドといった地が選ばれている。1917年の2月革命から10月革命、そしてソヴィエト連邦の成立と観念的に理解したつもりになってはいても、あれだけ広大なロシアの地。そんなにスムーズに革命が遂行したはずがない。そこに展開する作家の想像力にはただただ驚嘆するばかりだ

2014/02/16

佐々陽太朗(K.Tsubota)

ミノタウロス。「ミノス王の牛」。牛頭人身の獣。太陽神ヘリオスの娘パシパエが雄牛と交わってできた罪の子。男を嬲り殺し、女を陵辱し快楽を貪る罪は、この生まれ故か。そして肺と頭蓋を銃弾に打ち貫かれた死もまた罪の報いなのか。ミノタウロスは主人公ヴァシリ・ペトローヴィチの運命のメタファー。読み終えた後、しばし放心しました。殺伐とした世界、甘さのかけらもない乾いた視線、事の本質を鋭くえぐるセンテンスの数々は圧倒的な力を持って私に迫ってきました。この物語が日本人によって書かれたということが信じられない思いです。

2012/03/31

zirou1984

ロシア革命直後のウクライナ、農民からの成り上がり地主の次男として生まれたヴァシリは一体、生まれながらの半身半獣の怪物だったのか。戦争で顔を壊せども女中漁りを止めない兄にしかり、早熟な知性を持ちながら略奪と殺人への道へ堕ちていくヴァシリにしかり、怪物というよりは人間にも獣にも成りきれぬ不完全な存在であり、それは多数の国よって分割統治されたウクライナの政情そのものでもある。土地から銃、そして飛行機へと移り変わる力の象徴が20世紀という時代の加速性を描き出し、硬質な文体がその印象を一層増長させている。

2016/04/18

mii22.

想像以上に硬質で重たい文章に圧倒された。ロシア革命直後のウクライナ地方ミハイロフカで、成り上がり地主の次男として生まれたヴァシリの壮絶な物語。ロシア革命という時代背景に馴染みのない地名や名前、さらに歴史についての勉強不足で、中盤までは随分手こずった。繰り返される殺戮、略奪、裏切り..血と暴力にまみれた殺伐とした物語だが、その中でわずかながら顔を見せる友情と冒険に救われる。これがピカレスクロマンというものなのか..。しかしラストの数ぺージは美しささえ感じるほど引き込まれた。

2016/04/20

紅はこべ

舞台は20世紀初頭のロシア。主人公のヴァシリは田舎の地主の次男坊。襲いかかるロシア革命の波、ヴァシリの遍歴と転落の始まり。人間がいかにして品格やアイデンティティを保てるのか、考えさせられる。

2008/06/23

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