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新装版 わたしが・棄てた・女 (講談社文庫)

新装版 わたしが・棄てた・女 (講談社文庫)

新装版 わたしが・棄てた・女 (講談社文庫)

作家
遠藤周作
出版社
講談社
発売日
2012-12-14
ISBN
9784062773027
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新装版 わたしが・棄てた・女 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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こばまり

通俗的でモリモリと読ませる。「沈黙」が硬ならば本作は軟か。吉岡が特に非道い男とは思わない。ではミツが聖女なのかというとそれは男ならではの感傷で、私にはただそうとしか生きられなかった女として映る。本作を“恋”の棚に置いた神楽坂の書店、かもめブックスのセンスに唸る。

2016/06/12

じいじ

 ユーモア軽妙な筆致の長編。哀愁が漂う終盤では目頭が熱くなった。物語は、終戦三年後から始まる。主人公《ボク》は、学友・長島繁男と神田の汚い6畳で下宿生活。貧乏なボクはアルバイトに精を出す。そんな折、純真無垢な女・みつと出会う。ボクは情欲を、みつはボクに愛を求めた。その目的が叶うとボクは、みつは聖女だと思いながらも棄ててしまう。そして、勤め先社長令嬢と結婚。みつが孤独と貧乏に耐えながらも、一途にボクからの連絡を待っていることを知る・・。自己欲に走った男と、ひたすら愛を貫く女を、遠藤周作は見事に描き上げた。

2015/06/06

ω

タイトル通り、男が女をゴミのように棄てるω 「人生では、他人にたいするどんな行為でも、太陽の下で氷が溶けるように、消えるのではない」「他人の人生に痕跡を残さずには消えない」つまり、無かったことにはならんと言うこと。すんばらしい小説。

2021/02/14

Mishima

タイトル、著者、レビューから想像していたものとまるで印象が違っていたので驚きました。なぜ、これを書いたのかという疑問すら浮かんできました。入り口はあられもない通俗小説なのです。途中からガラリと世界観が変わります。信仰心がある人が読むと違って見えるのでしょうか。題材がセンシティブなものであるので、どう受け取るべきなのか書きようもない感じです。

2018/03/19

Pー

実に久しぶりの遠藤氏との再会だった。途中までは単なるミーハー的な小説かと思って読んでいたが後半になって「ハンセン病」の言葉が現れ、これはやっぱり遠藤文学の本筋だと思った。それは「愛」に生きる人間の物語。困っている人、苦しんでいる人、不幸な人を見ると捨ててはおけない心こそ真の「愛」であり、その「愛」はやがて「神」へと行きつく道程だった。富士の裾野の隔離病棟でライ病患者のお世話をしながら交通事故でその短い生涯を閉じた森田ミツはカトリックの洗礼を受けながら息を引き取った。遠藤文学、いま少し読んでみよう。

2017/01/12

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