青い鳥 (新装版) (講談社青い鳥文庫)
青い鳥 (新装版) (講談社青い鳥文庫) / 感想・レビュー
mm
江國香織さんが文を書いて、高野文子さんが挿絵をつけるという良い組み合わせであったし、青い鳥は家にいたというオチ以外よく覚えていないなぁと読んでみました。元々は戯曲だったのですね。底本として、英訳アレクサンダー・テイシェラ・ド・マトーのbluebirdが使われているそうです。戯曲を文にした苦心の作。見えないものに気がつく、見せかけに騙されない、各々がなすべきことをなすという教訓的な面だけでなく、それぞれがそれらしくあること、気まぐれにも不幸にも目をそむけない視線が生きるということへの励ましになってます。
2019/04/22
ぐうぐう
もともとメーテルリンクの『青い鳥』は戯曲として発表されているので、今回の新訳は、江國香織によるノベライズと言い換えてもいいのかもしれない。外見の美しさに惑わされるのではなく、心の目で物事を見ることで真の価値や、何が大事なのかがわかるという主題に貫かれた物語が、独創性のあるエピソードの数々で綴られている。また、高野文子の箱庭を思わせるイラストが、『青い鳥』に込められた批評性も内包しているようにも思え、実に懐の深い新訳本となっている。
2013/12/22
はじめさん
2020/11/28(土)14:00- 「青い鳥」読書会 オンラインでも参加できます。炭治郎と禰豆子の青い彼岸花を探すーーではなく、チルチルとミチルの青い鳥を探す旅! https://bookmeter.com/events/7854
Tui
たとえ不幸と感じる状況にあっても、見方や捉え方を変えると暖かさに満ちているもの。すべてに魂が宿っているとするあたりアニミズムのようでもあり、心洗われます。…とまあ、普段やや偏ったテーマの本を選びがちなこの頃、たまに児童文学を読むと心の奥深くの純粋さが呼び起こされ、己にもまだ清い部分が残っていたのかと、ちょっと安心できますね。そもそもは敬愛する高野文子先生が挿絵を描いているので購入。絵本『火打ち箱』でも用いられていた書き割り風の絵は、一見シンプルでも奥深く、物語そのもののようでした。
2014/10/10
ヤス
私たちは大人になるにしたがって「快楽」と「幸福」をごちゃまぜにしてしまって、子どものときに見えていた本物の「幸福」が見えなくなってしまう。世界を眺める目もどんどん貧しくなってしまう。子どものときは犬、パン、木、水と会話し一緒に遊んでいた。もともと個人個人が自由に思い描いた世界が「現実」だったはずなのに、他人や常識と合意のとれた世界のことを「現実」と呼ぶようになってしまった。私たちが大人になっても小説を読んだり、アニメを見たりするのは「現実からの逃避」ではなく、「現実への回帰」なのかもしれない。
2017/02/05
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