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森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書)

森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書)

森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書)

作家
宮脇昭
出版社
講談社
発売日
2013-04-18
ISBN
9784062882040
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森の力 植物生態学者の理論と実践 (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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Sakie

日本の本来の森(原植生)は現代の日本にほとんど残っておらず、あとは全て人間が改変したもの(現存植生)だという。少なくとも広葉樹林は、本物の森だと私は思っていたが、自然な森ではないと知った。著者は何十年も各地の現地植生調査を行ない、もともと生育していた土地本来の木(潜在自然植生)を突き止め、その苗を多層になるよう、また競争原理が働く形で密植することによって、「人間が管理せずとも維持できる森」を早く生育させる方式を編み出した。長期の観察から導かれる論理は強い。とりあえず神社の鎮守の森を見に行こう。それが本物。

2023/12/23

ハチアカデミー

戦後の高度成長期の中で、公害が問題となり、自然破壊の弊害が改めて考えられるようになった時期に、企業を、国を動かして「鎮守の森」を日本各地に再現せんとした植物学者の人生語り。現在日本の森林の多くが「マツ・スギ・ヒノキ」であるが、それは人が造林された人工林であり、土地本来の森ではないと指摘する。近代化によって、工業に利用可能で、成長が早い植物が植えられたのだ。著者はそれを「ニセモノ」の森と指摘するが、近年はやりの里山はいかに… 感情の人なので、本書のすべてを鵜呑みにすることはできないが、学ぶことは多かった。

2014/07/17

ぼのまり

漠然と神社など宗教的な意味合いで考えていた「鎮守の森」だが、日本の生態に本来適合した森であるからこそ、神社などがまつられたと考えるのが正しそうだ。杉や松、檜など一見緑が多く見えるようであっても、これらは造られた森であり、その土地の持つ生命力は発揮するにいたっていない。近くの神社などの木々も見てみようと思う。神聖に感じるのは木々と土地がシンクロしているからに違いないのだ。

2013/08/20

めんま

全体的にヒロイックな調子で書かれていることは気になる。ただ、その土地が潜在的に適した樹木を持つという潜在自然植生という概念はすごく面白く、今の日本では森があるように見えても、実は土地に合っていない樹木の集まりであり、脆弱なのだという観点は目から鱗だった。

2021/02/18

Kent Kaseda

環境保全機能や災害防止機能を最大化するには、潜在自然植生 (人の手が入らなかった場合の植生) に基づく土地本来の森が望ましい。だが、戦後の拡大造林政策をはじめとする人間活動が原因で、土地本来の森はごくわずかしか残っていない。強い森林を育むためには、混色と密植で競争の場を提供することが必要だ。植物社会・人間社会ともに、最適条件から離れた、少し厳しい状態におかれることが、長期的な成長にとって重要である。

2017/02/01

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