現代アイヌ文学作品選 (講談社文芸文庫)
現代アイヌ文学作品選 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
ハチアカデミー
まず知里幸恵の『アイヌ神謡集』の世界観が凄い。単純な解釈を許さない豊かな世界が広がる。怒りややるせなさがストレートに記される違星北斗(「アイヌから偉人の出ない事よりも一人の乞食出したが恥だ」)、森竹竹市(「アイヌ亡びず」)らの短詩も強く印象に残る。他、祖母の死を描いた鳩沢佐美夫「証しの空文」も所収。世代ごとによるアイヌ文化へのまなざしの違いや、生活信条、宗教観の違いが語られる。「文学」という文化から、アイヌの歴史や価値観を知ることのできる貴重な一冊である。近代以降のアイヌ民族の苦しみが吐露されている。
2015/04/18
itsumiKshi
アイヌの人にキリスト者が思いの外多く感じた。違星北斗の詩が、皮肉と独立心がにじみ出ていて好きだった。
2022/07/18
ワッピー
恥ずかしながら、アイヌ神謡集以外、アイヌの方が書かれたものをあまり読んできませんでした。日記や短歌、詩、論文などを含め、初めて目にするものばかり。アイヌであることの誇りと現状への屈辱、苦渋といった生の感情にふれ、これまでウタリの人々がたどってきた苦難の道を垣間見ました。無関心から脱することがスタートライン、かな。
2013/12/15
ひい
鳩沢佐美夫の描く祖母の在り方がとても生き生きしている。アイヌとしての信仰と、外からもたらされる信仰の混交に対する主人公の視線など。 必要があれば女性でもパスイを持ったり、神に弁舌を披露したりするんだなぁ。 萱野茂の引導渡しも感動的。
2022/03/10
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