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暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)

暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)

暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)

作家
野間宏
出版社
講談社
発売日
2010-12-15
ISBN
9784062901079
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暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

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ネムル

戦中・戦後のマルクス主義に傾倒した亜インテリな鼻持ちならなさが好きになれない。とりあえず、戦後の虚無主義に陥った精神史として読む。「顔の中の赤い月」は映画的でちょっと面白い。

2018/07/27

Kazuo Tojo

戦争前後の男たちの出来事。暗く、常に死がつきまとう物語の短編の五作品。もしかして男とは、こういう人生を負わなければいけないのかとも思ってしまう。今の自分には時々、こういう作品を読まなければと思ってしまう。

2018/12/23

ダージリン

野間宏は初めて読んだが、なかなか読むのに体力を要する作品だった。ただ、こういう重さのある文体は嫌いではない。ここに収められているのは作家として初期の作品であり、何となく肩肘張ったようなところも感じられるのだが、多少若書きというところがあるのだろうか。後期の作品と読み比べてみたい気がした。

2018/03/04

れぽれろ

野間宏の終戦直後の短編を集めた一冊。左翼活動を行う30年代の学生の心理を描写した表題作「暗い絵」は、なんといってもブリューゲルの絵についての描写のインパクトがすごいです。一方、戦地から帰ってきた男たちの戦後すぐの生活を描いた3作品「顔の中の赤い月」「残像」「崩壊感覚」は、戦争体験を通して虚無的になってしまった人間の3パターンの心理を描いており、終戦直後のニヒリズム・エゴイズムが印象的な作品になっています。そんな中、ややコミカルな戦中の軍隊の描写「哀れな歓楽」もまた味のある作品だと思います。

2014/06/29

あにこ

孤独の中であらゆる心象が渦巻き、結ばれ、崩れ散る……鬱々たる日々を惰性で送っているだけの近頃の私には、この作品集が重く響いた。いずれの作品にも暗い青春と軍隊生活、そして戦争の影がおちているのは興味深い。良いか悪いかはともかく、現代の青年とは全く次元の異なる空間を著者が生きただろうことは間違いなく、その点でも非常に文学的価値のある復刊だったと思う。極めて無骨で回りくどい文体であるが、その深奥でちらちらと“暗い生命の衝撃”が光っている。醜悪な現実と人生を照らす濁った光である。これが私を捉えて離さない。

2011/07/23

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