暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)
暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
ネムル
戦中・戦後のマルクス主義に傾倒した亜インテリな鼻持ちならなさが好きになれない。とりあえず、戦後の虚無主義に陥った精神史として読む。「顔の中の赤い月」は映画的でちょっと面白い。
2018/07/27
Kazuo Tojo
戦争前後の男たちの出来事。暗く、常に死がつきまとう物語の短編の五作品。もしかして男とは、こういう人生を負わなければいけないのかとも思ってしまう。今の自分には時々、こういう作品を読まなければと思ってしまう。
2018/12/23
ダージリン
野間宏は初めて読んだが、なかなか読むのに体力を要する作品だった。ただ、こういう重さのある文体は嫌いではない。ここに収められているのは作家として初期の作品であり、何となく肩肘張ったようなところも感じられるのだが、多少若書きというところがあるのだろうか。後期の作品と読み比べてみたい気がした。
2018/03/04
れぽれろ
野間宏の終戦直後の短編を集めた一冊。左翼活動を行う30年代の学生の心理を描写した表題作「暗い絵」は、なんといってもブリューゲルの絵についての描写のインパクトがすごいです。一方、戦地から帰ってきた男たちの戦後すぐの生活を描いた3作品「顔の中の赤い月」「残像」「崩壊感覚」は、戦争体験を通して虚無的になってしまった人間の3パターンの心理を描いており、終戦直後のニヒリズム・エゴイズムが印象的な作品になっています。そんな中、ややコミカルな戦中の軍隊の描写「哀れな歓楽」もまた味のある作品だと思います。
2014/06/29
あにこ
孤独の中であらゆる心象が渦巻き、結ばれ、崩れ散る……鬱々たる日々を惰性で送っているだけの近頃の私には、この作品集が重く響いた。いずれの作品にも暗い青春と軍隊生活、そして戦争の影がおちているのは興味深い。良いか悪いかはともかく、現代の青年とは全く次元の異なる空間を著者が生きただろうことは間違いなく、その点でも非常に文学的価値のある復刊だったと思う。極めて無骨で回りくどい文体であるが、その深奥でちらちらと“暗い生命の衝撃”が光っている。醜悪な現実と人生を照らす濁った光である。これが私を捉えて離さない。
2011/07/23
感想・レビューをもっと見る
「野間宏」の関連作品
〆切本2
- 作家
- 森鷗外
- 二葉亭四迷
- 武者小路実篤
- 北原白秋
- 石川啄木
- 芥川龍之介
- 横溝正史
- 小林多喜二
- 丸山眞男
- 水木しげる
- 山崎豊子
- 田辺聖子
- 赤塚不二夫
- 高橋留美子
- 穂村弘
- 福沢諭吉
- 源氏鶏太
- 山本有三
- ドストエフスキー
- 夢野久作
- 石川淳
- 山本周五郎
- 太宰治
- 松本清張
- 梅棹忠夫
- 安岡章太郎
- 井上ひさし
- 宮尾登美子
- 向田邦子
- 川上弘美
- リリー・フランキー
- 川上未映子
- 町田康
- 萩原朔太郎
- 滝井孝作
- 深沢七郎
- 五味康祐
- 小川国夫
- 吉村昭
- 校條剛
- 團伊玖磨
- 河野多惠子
- 五木寛之
- 片岡義男
- 堀辰雄
- 椎名誠
- 平出隆
- 村山由佳
- さくらももこ
- 神近 市子
- 岡本かの子
- 今井 邦子
- 宇野千代
- 中條百合子
- 美川 きよ
- 平林たい子
- 子母澤 寛
- 川端康成
- バルザック
- 辻 佐保子
- 辻邦生
- 田中小実昌
- 澁澤龍子
- 澁澤龍彥
- 赤川次郎
- 中島らも
- 三浦しをん
- 野間宏
- 木下杢太郎
- 笹沢左保
- 筒井康隆
- 江口寿史
- 松尾豊
- 冲方丁
- 井上靖
- 室生 朝子
- 室生犀星
- 大庭 みな子
- 伊集院静
- ハルノ宵子
- タモリ
- 野坂昭如
- 堀道広
- 出版社
- 左右社
- 発売日
- 2017-10-07
- ISBN
- 9784865281774