柄谷行人中上健次全対話 (講談社文芸文庫)
柄谷行人中上健次全対話 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー
ころこ
「中上 ところで、「差異」ってのはさ、どういうことなんだ、いったい。」作家は見当違いであっても作品を書くことで答えれば良い。批評家は正解を言えば良いというものでは無く、作家の良さも引き出さなければならない。批評家はそこが勝負の場なのだから。「柄谷 「差異」ってのは結局、意味の始まりみたいなもんさ。」差異とは意味と意味のズレの機能ですが、ここでは異なるものを同一視し、記号的に消費される間に意味を見出すという視覚的な隠喩によって答えています。今さら小林秀雄はないんじゃないかというのにも柄谷は付き合っています。
2020/10/05
紫羊
異言を操る天才同士の丁々発止のやりとりが痛快。
2023/06/29
かいこ
『小林秀雄を超えて』が特に良い。対話の中で提起された諸問題群はどれも小説、更には小説の言葉(日本語)の問題として深く考えていくべきものばかりだ。中上の言う「物語(の系譜)」について理解深める為の取っ掛かりになりそう。柄谷の理論の簡単なおさらい編でもあった。
2018/06/26
なめこ
時代順に二人の対談等が読むことができ、そのときどきに彼らが何をどう考えていたのかということの変遷が分かる。中上健次がもし今も生きていたら何を考えているのだろうということはやはり気になるのだけれども、そのことよりも、この本を読んでいる当の自分がこれから何をどう考えていくべきなのかということについて、考えさせてくれる刺激的な一冊。それとは別に、「八十まで生きる」という中上に「『枯木灘』なんか書いちゃったら長生きしないよ」といった、柄谷のことばが印象に残っている。
2014/08/01
hasegawa noboru
小林秀雄をコテンパンにやっつけることでこの二人の仕事は成り立っていったんだな。〈小林秀雄は、「国民は黙って事変に処した」なんてことを言う。「国民」とか「生活者」とか「大衆」とかいう〉〈そういうものは存在しない。〉〈実際に存在するのは、さまざまな社会的関係の網の目の中にある諸個人だけだ。黙って事変に処した「国民」なんてのは、インテリの自意識にすぎない。〉(柄谷)信ずる者は救われるの宗教じゃあいけないってことで、(文学する奴らはそんなのばっか!)「交通」の視座にたってひたすら考えろと、二人は強調する。
2014/01/09
感想・レビューをもっと見る