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怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)

怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)

怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫)

作家
鹿島茂
出版社
講談社
発売日
2010-10-13
ISBN
9784062920179
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怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫) / 感想・レビュー

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chanvesa

「本当は…」と書かれる歴史の本はどこかうさんくささを感じる。色欲に惑わされていたという人物をよく言われる「が」と否定こそしないまでも愚鈍で凡庸な人物像の書かれ方に否定的な面を打ち出そうとしているのに、随所に色欲の場面が出てくる。くだけて面白く読ませようとしているのが、どこか鼻につく。ナポレオン三世のことはあまり良く知らないので、『ブリュメールの十八日』を読んでも頭に入ってこないくらいなので、新たに知ることは多かったが、知ったということに終わってしまう。

2024/02/04

春ドーナツ

歴史書に親しむようになると、自ずと評伝の世界へ分け入っていくことになると個人的に思う。そこに待っているのは、ひとりの読者としての豊饒の山だ、とこれまた個人的に思う。で。いろいろ評伝を漁ることになる。百科全書的な圧倒的情報量を誇る鹿島さんの文章と評伝が出会ったとき、きっと読書の愉悦シャワーを浴びるだろう。実際、私は両腕を水平に広げて天を仰ぐ。読了間際のビターな寂しさは評伝ならではだ。そんな切なさが私に大仰な文章を書かせるのだと思う。そして明日から関連書探しが始まる。というか、今回は外堀から埋めて辿り着いた。

2023/02/20

ホームズ

ナポレオンの甥で皇帝になって普仏戦争で負けたってくらいしか知識は無かった(笑)前半の失敗続きの一揆や脱獄の話、フランス帰国後の議員や大統領時代の話が良かった(笑)『パリ燃ゆ』であったクーデターの話も興味深かった。中盤少しナポレオン3世本人の話から離れてしまった所ですこし集中力が切れた・・・。後半になってクリミア戦争、イタリア戦争、メキシコ出兵、普仏戦争と進んでまた集中できた。皇帝と言っても「独裁」という感じではなかったんですね。もっとフランスの歴史を知りたくなったな。

2012/10/27

おっとー

超名著・圧倒的評伝。普仏戦争でのセダンでの捕縛を筆頭になにかと暗愚とされがちなナポレオン三世だが、これはマルクスなどによって後付けで作られたイメージにすぎず、実は大衆に寄り添い、パリの大改造を実現し、サン=シモン主義のもとでフランスの大変革を導いた皇帝であった。さらに本書では主人公のナポレオン三世をはじめ、皇妃ウージェニーや彼の下で働いたペルシニー、モルニー、オスマンなど、様々な人物が一人の意志をもった人間として(肉体を持って)躍動する。単純にレッテル張りのできない複雑な内情が、鮮やかに開示されていく。

2022/04/10

noémi

今日のナ三世への評価は不当に低い。彼の治世とはナポレオンの滑稽なパロディであり、茶番の時代にすぎないと。だが、同時代オーストリアのフランツ・ヨーゼフの硬直した無能さに比べれば、内閣や議会を制定、オスマンで有名なパリ大改造をこなし、福祉政策を施行など、サン・シモン主義に基づいた先見性のある治世だったのだと頷かざるを得ない。それなのに、この皇帝の異様なほど好色さはそれらの偉業をもってしても埋めることができない欠点だった。しかし、本書を読めば、第二帝政はだだの金ぴかのバブリーな時代ではないと実感するだろう。

2011/01/06

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