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天災と国防 (講談社学術文庫)

天災と国防 (講談社学術文庫)

天災と国防 (講談社学術文庫)

作家
寺田寅彦
出版社
講談社
発売日
2011-06-10
ISBN
9784062920575
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天災と国防 (講談社学術文庫) / 感想・レビュー

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rico

起こり得る最悪の組み合せがいつ起こらないとも限らない→「想定外」って言葉、この10年間どれだけ聞いた?文明が発達するほど損害が大きくなる→昔は停電しても井戸や薪や蝋燭があれば何とかなったけど、今は全てのインフラが止まる・・・。思わず、書かれた時期を確認する。1920年~30年代、1世紀近く前。今は常識となっている科学的知見が専門家にも知られていない、そんな時代の論考ではあるけれど、今なお克服できていない課題を突き付ける。「天災」が多いのはこの国の宿命。「国防」として対峙せよという主張に、肯くしかない。

2021/09/26

姉勤

明治を代表する科学者にして随筆家、寺田寅彦の表題を含めた数編のエッセイ。関東大震災や函館の大火、東北の津波、浅間山の噴火など、当時起こった災害を科学者の目で考察、提案する。新聞報道を、情緒を煽るためで科学的検証に相応しくない、当事者を責めて、溜飲を下げるだけでいいのかなど、現代に通じる、そして日本人のカルマに辟易しつつ。抗う術ない大災害を0にするのではなく、智慧を持って50に、復興の時間を半分にできるように。 教訓としての防災の意識が、他国より厳しい建築基準法の整備や、防災訓練に活きていることは有難く。

2018/04/27

Tonex

災害に関する文章のアンソロジー。「天災と国防」「火事教育」「災難雑考」「地震雑感」「静岡地震被害見学記」「小爆発二件」「震災日記より」「函館の大火について」「流言蜚語」「神話と地球物理学」「津浪と人間」「厄年と etc.」の全12編収録。▼青空文庫で数編拾い読み。寺田寅彦なんて古くてつまらないと思っていたが、読んでみると今でも十分通じるようなことを書いている。文章もわかりやすくて読みやすい。

2016/03/11

佳音

汗顔の至りというのはこの事か。昭和九年に「いつかは回って来るのが自然の鉄則であると覚悟を定めて(中略)充分の用意をしておかなければならないということは実に明白すぎるほど明白」であると、寺田は警鐘をならした。本書を読むと、我々がそれぞれの立場で災害において用心に怠りはなかったかと猛省を促される。前途ある、大学生や中高生に読んでほしい。昭和前期の議論が、平成においても新鮮である事に驚きを禁じ得ない。昭和以前の「苦い経験がむだになるようなことは万に一つもあるまいと思うが」とのくだりは、首をうなだれるほかはない。

2012/08/13

とみやん📖

今夏は豪雨、台風、地震と大変な自然災害に見舞われた。よって、おのずと手が届いた本。関東大震災や白木屋の火事、昭和八年の東北津波など、寺田寅彦氏存命中のさまざまな災害からさまざまな考察を重ねている。現代と時代状況が異なることも当然あるが、漱石と同時代の碩学ゆえに、根本的な考え方が大いに示唆に富む。そして、柔軟で豊かな発想、思考の持ち主であることが分かる。昔から自然と対峙してきた日本人に大切なことを教えてくれる名著。巻末の畑中さんの著作も2つほど読んだことがあるのだが、今回は興が乗らず、読み飛ばし。

2018/09/11

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