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千日のマリア (講談社文庫)

千日のマリア (講談社文庫)

千日のマリア (講談社文庫)

作家
小池真理子
出版社
講談社
発売日
2017-11-15
ISBN
9784062937474
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千日のマリア (講談社文庫) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

素晴らしい短編集。昨日読み終わった余韻がまだ胸の中に残っている。生きることには哀しみがつきまとう。どんな人も弱さを抱えているし、自分ではよく分からない衝動に突き動かされてひどいことをしてしまうこともある。このような人間の弱さを正面から見据えて、人間の存在自体を肯定していく限りない優しさに溢れた短編集だ。表題作では、事故で片腕を失った男が義母と深い関係になってしまう。義母は男の悲しみを受け入れてその関係をある時まで続ける。男は義母の義母の深い優しさに彼女の葬儀の時に思いをめぐらす。(続きます)

2017/11/29

エドワード

人は時に決して口に出せない秘密を抱えることがある。道ならぬ愛。裏切り。虚栄心。標題作の秀平と義母の美千代、「凪の光」の知美と同級生のより子。二人のマリアの物語が秀逸だ。「つづれ織り」の美和子の母と大家の長男・龍之介の秘密の恋のなまめかしさは昭和の映画のようだ。解説で小川洋子さんが、皆が口を閉ざす短編たちを「偶然同じ電車に乗り合わせた、平凡な人々の、どうしても折り合いのつかない、当人にも正体がつかめない記憶の物語」と喩えているのが的確だ。物語の隅で、猫やテンや鳥の雛などが主人公たちを勇気づける様に心なごむ。

2022/07/10

カブ

男と女の8篇の物語である。登場人物一人ひとりは、自分ではどうすることもできない運命に翻弄されながら、流されていくようでいて、したたか。生きるとはこういうことかと。小川洋子氏の解説も短編小説のようで美しい。

2017/12/29

coco夏ko10角

8つの作品収録の短編集。『落花生を食べる女』と『修羅のあとさき』が特によかった。最後の小川洋子さんによる解説がひとつの純文作品みたいですごい。

2018/12/23

桜もち 太郎

八つの物語の短篇集。どの作品も読み応えがあった。「本当のことは、口に出して言ってはならない」人間には当たり前だけれど男女があって、毎日当たり前のように生活している。しかし誰にも言えないことを抱えて生きて、悩みも多種多様だ。そんな人間の奥深さを描く力量はさすがだ。良かったのは『千日マリア』だ。婿に対する負い目をもつ義母。二人が淫らな関係を結ぶわけだが、婿の衝動的な行動が生々しい。義母の葬儀のとき、棺桶越しにみる娘の射るような目が印象にのこった。そして何といっても解説が小川洋子だった!鋭い視点はさすがだった。

2023/12/03

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