愛についての感じ (講談社文庫)
愛についての感じ (講談社文庫) / 感想・レビュー
masa
誰にも読まれないことばを落とした。タイムラインに呑み込まれる想い。孤独な詩の死。透明なことばは存在したといえるのか。愛してるの文字は嘘の匂いがした。確かめるように唇からこぼすアイシテル。他人みたいな声が鼓膜を揺らした。コロシテの音は響くのに。偽りの愛を重ねてもマイナスだと君は嘆く。《i×i=-1》。叶えるつもりの偽りは願いだから、正数になるまで塗り重ねろと僕は唄う。《i×i×i×i=1》。好きなものを好きだと。そうにしかなれないと。誰にも伝わらなくても。唇に残った愛についての感じを失くしてしまうその前に。
2020/01/18
さっとる◎
世界の裏側にはみ出してしまった私のもとに不定期にやってくるイカレたのをあいつらは愛とかよんでいて、そこにある音楽性の違いで私こいつら全然わかんないって思うのにあちらでは全部わかってる大丈夫とか言うもんだから、なんかもう全然わかんない。はみ出してから愛とか言えよ。そっち側から低気圧垂れ流すな。私が欲しかったのは愛なのにあいつらが置いていくのは違う何かで、でもそれがどう違うのか説明とか無理で泣きながら埋めるしかできない。わかってた、どれも本物だったこと。ただどの本物も私わからなくて。ごめんね。でもありがとう。
2020/01/13
ピロ麻呂
これはちょっとハズレかなぁ~とほぼ流し読み…でも最後の「新世界」はおもしろかった(^^)
2017/10/28
ぽてち
エグめの話ぽいけど、作者の聡明さとか純粋さによるものなのか清潔感もある。ゾンビぽい人がゾンビになったり、副作用的に内面を抑制するクリームを塗って表向きをどうにか保ったり。どこにいきつくのかわからない感じが面白かった!愛なんてわからない者が愛ってこんな感じだろってつきつけてるような小説。
2021/03/07
ちぇけら
雪のふる午後、初恋のように黄色い便箋に、会ったことのないきみへのことばを綴る。〈0.01じゃすぐいっちゃうから0.03をつけるぼくは、アイシテルでごまかしているけれど、あいつよりもきみから3倍とおいところにいると気づいているのです〉。見慣れない鏡の天井をみているうちに明けた夜は、ボクの固有名詞を脱がしてしまった。ベッドの脇に丸まった燃え滓たちを弔いながら、きみのために歌ったのだが、ボクのことばに耳を傾けるひとはもうどこにもいない。大丈夫、それは絶望ではないのだよ。やっと安心して、愛について歌えるのだから。
2020/02/15
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- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2022-08-05
- ISBN
- 9784813804147