夢魔去りぬ (講談社文庫)
夢魔去りぬ (講談社文庫) / 感想・レビュー
メタボン
☆☆☆☆ はな西村賢太の作品だから、どうせDVの話だろうよ、とほきすてつつも、やっぱりあきたりなく面白い。「微笑崩壊」何とか秋恵への暴力を踏みとどまっていた貫多だが、タクシーでの帰途、秋恵の何気ない一言に怒りが爆発して殴ってしまう貫多、それを見つめる運転手の眼差し。何か滑稽で笑ってしまった。
2023/01/31
とし
西村賢太の私小説。同居相手との日常のやりとり、ほんの些細なことから手が出たりと相変わらずの主人公でした。本作品では、お鍋や居酒屋、食事が原因だったり、同居人の一言で切れたりといつもの傍若無人ぶりがとまりません。私小説とはいえこれが西村さんの本性とは思いませんが、かなりのDVっぷりです。最後の微笑崩壊が印象的でした。他のカップルで男が女を怒鳴りつける姿をみて反省する主人公貫太。あのような男にはなるまいと思いながら怒りを抑えていますが、ふとしたことからいつもの貫太にもどる姿はなんともいえない感じになりました。
2018/01/29
くまちゃん
DVをする人ってこんな感情で動いているのか~って感心した。気が付けば暴力をふるっていて、その後の罪悪感や周りの人が離れて行ってしまうって恐怖。暴力をふるう事は絶対ダメだけど、本人も苦しんでいるんだな。最初、貫多最低!って事しか思わなかったけど、最後の「微笑崩壊」で、秋恵もわざわざ心配性なの分かってて変な冗談言わなきゃいいのにって思った
2018/05/21
村山トカレフ
6編収録。「痴者の食卓」を改題し文庫化。よって再読の態。杉本一文氏の装画が堪らなくイイ。これは横溝作品が好きな先生の懇願かしら? 表題作、「夢魔去りぬ」がわたしのお気に入り。追憶の彼方に少年貫多、否、賢太君を見る。そりゃあどうでもペーソスは漂うってもんだ。そして解説はなんと勝目梓大先生だ。粉飾やポーズのまるでないシンプルで的を射たすばらしい解説。イイ。とっても。大好きな先生たち、どうもありがとうございました!
2018/03/05
澤水月
父の犯罪で逃げるように去った小学校を番組企画で訪れる表題作。三十年余を経てある「訣別」と再生の心境に至る筆致が染みる傑作。やさしさがある。ペット巡るドタバタ(下水に流した感傷)では「秋恵」の反抗も。決定的破局に至る直前の日々が丁寧に綴られる。ホットプレートに関する諍い(痴者の食卓)原因は新品あるあるだなあ。解説が勝目梓!
2023/01/29
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