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世界の果てのこどもたち (講談社文庫)

世界の果てのこどもたち (講談社文庫)

世界の果てのこどもたち (講談社文庫)

作家
中脇初枝
出版社
講談社
発売日
2018-06-14
ISBN
9784062939027
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世界の果てのこどもたち (講談社文庫) / 感想・レビュー

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せ~や

戦争の時代の移り変わりを、その時々で生きようとした人たちの姿を、三人の女の子を主人公にして、それぞれの土地で、それぞれの視点で、楽しさも憎しみも、苦しさも葛藤も、丁寧に描かれてる。まるでその時々を一緒に生きているような感じがして、読んでいてしんどかったけど、そこまで感じさせる一冊。国々の◯◯人というアイデンティティーや、自分の名前の大切さ、家族の有り難みや親の優しさ、小さな頃の何気ない記憶や離れていても想い合えて、再開できた時の嬉しさ。最後はふぅーっと一息して、少し救われます。さすがは中脇初枝さん。☆4

2018/12/04

dr2006

多くの参考文献と取材に基づいた作品だからこそのリアルな説得力。圧倒され暫く動けなくなった。満州国は日本の敗戦を期にソ連が占領し消滅した。これにより満州へ移民していた人々は暴力的に土地や家を追われ過酷な運命を辿る。特に日本に戻ってこれず中国残留孤児となってしまった子供達の肩身の狭い辛苦は想像を遙かに超えていた。1944年、出自や境遇が全く違う珠子、美子、茉莉3人の少女は、満州国吉林奥地の開拓地で出会う。満州という切り口で、傷ましい戦争と民族の歴史への客観的な理解が上書きされたのは間違いない。読んで良かった。

2023/06/12

ピロ麻呂

2016年本屋大賞3位☆これは戦争を知らない僕たち、そして後世の子どもたちに読み継がれていって欲しい作品。満州で出会った小学1年生の少女3人がそれぞれ壮絶な運命をたどる。大人のエゴで始められた戦争のせいで、子どもたちは飢えに苦しみ、親と死別し、民族の違いで差別され…戦争の悲惨さがとても伝わる良作でした。

2018/10/21

piro

高知の寒村から開拓団として満州に渡った珠子、日本の植民地となった朝鮮に生まれた美子、横浜の裕福な家庭で育った育った茉莉。戦争が暗い影を落としつつある満州の短い夏、3人の少女は出会い、別れます。その後の戦争の激化、戦後の混乱の中で翻弄された彼女達の過酷な運命が余りにも痛々しい。人の卑劣さ、身勝手さに何度も怒り、彼女達の境遇に涙しましたが、彼女達の生き抜く強さに感動します。どの国にも卑劣な人はいるし、優しい人もいる。国境を超え、多くの人に助けられつつ乱世を生きた彼女達の物語は、多くの人に読んで欲しい一冊です。

2019/02/15

エドワード

私の娘の手は私とそっくりだ。指も掌も瓜二つ。以前中国残留日本人孤児のニュースを見た時のことを思い出す。「生き別れになっても、親子だとわかるね。」第二次世界大戦中の満州で出会う三人の少女。高知の寒村から来た珠子。横浜の裕福な家育ちの茉莉。占領下の朝鮮から来た美子(ミジャ)。五族協和は夢と破れ、敗戦と共に彼女たちが巻き込まれる地獄絵の凄まじさ。「犬死にって何?」と問う茉莉の言葉が印象に残る。朝鮮戦争と文化大革命で激変した彼の国々。「日本で暮らそう。」再会した晩年の彼女たちの幸福を祈らずにいられない。

2021/10/23

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