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静かに、ねぇ、静かに

静かに、ねぇ、静かに

静かに、ねぇ、静かに

作家
本谷有希子
出版社
講談社
発売日
2018-08-23
ISBN
9784065128688
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「静かに、ねぇ、静かに」のおすすめレビュー

SNSに翻弄された人の末路…読後に残るのはいたたまれなさばかり、なのになぜか癖になる『静かに、ねぇ、静かに』

『静かに、ねぇ、静かに』(本谷有希子/講談社)

 なんてヒリヒリとした“いや”な作品を描くのだろう、と思った。『静かに、ねぇ、静かに』(本谷有希子/講談社)。SNSをテーマにした3つの短編集である。

 1編めの「本当の旅」は冒頭からしていけすかない。LCC便でクアラルンプールに向かう男女3人。チェックインカウンターでは荷重調整に手間取り人を待たせて当然の顔をしているし、フードコートの店員には横柄。何かあればすぐ動画をとり、加工してインスタにアップし「感謝」とつづる。お金に縛られるのは人間だけだ、仕事している時点でクリエイションに欠けた無能者なのだと嘲笑う。本当はわかっているのだ。自分たちがしているのが“本当の旅”でも感謝と感動に満ちた生活でもないことは。だけど深く考えれば待つのは絶望しかない。しかも二十代の夢追い人かと思いきや、しだいに収入のほとんどない中年男女だとわかってくるから、そのありさまはよけいにグロテスクである。

 いったい著者はこの3人を通じて何を描こうとしているのだ。まさか旅を通じて心機一転、ちゃんと働こうと決意を新たにする――なんてこ…

2018/9/2

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静かに、ねぇ、静かに / 感想・レビュー

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starbro

芥川賞受賞作『異類婚姻譚』に続いて、本谷 有希子2作目(芥川賞受賞後第1作)です。SNS絡みの個性的でユーモラスな短編集、面白く読みました。オススメは、気持ち悪さテンコ盛りの『でぶのハッピーバースデー』です。

2018/09/09

ケンイチミズバ

自分にイイネしてくれる人のコメントや存在こそが真の人間関係という視野狭窄に陥っている人は現実にたくさんいるのだろう。そんな狭い世界で承認されたものだけを正しいと信じ、片時もスマホを手離さない。イライラしたが、キャンピングカーの話はラストのおもしろさがなんともいい。ブラックすぎてる。ネットを通じ擬似的に充たされるのも度が過ぎれば私には病気としか思えない。目で見た現実よりインスタにした旅行風景の方が大切なんて終えとる。読書メータも読書体験よりコメントをアップすることの方が大事だと思っている人がいやしまいか?

2018/09/03

抹茶モナカ

SNSが日常を蝕む様子を描いた3編からなる短編小説集。LINE、インスタ、ネットショッピング、動画配信。SNS漬けの現代人の様子は、世間話のレベルでも危惧されているが、小説の分野で作品化している作家さんはいたろうか。不勉強なので、わからないけれど、現代社会の空気のくみ取り方が良くて、読みやすく、面白く読んだ。それぞれ作品の終わり方は後味が悪いのだけれど、アイロニカルという感じかもしれない。短編集としては、文体も実は密度が薄くて、サクッと読めてしまうカミソリの刃のような本なんだけど、冗長な部分もあった。

2018/09/25

風眠

自分の価値観は絶対で、これこそが正しい理想のカタチ。そう、自分の世界にいる限りは「おかしいよね?」と誰かに指摘されることもないし、幸せでいられる。働いたり家庭を築いたり、現実の中に参加するなんてナンセンス。そんなふうに、思考を都合よく変換し、自分理論に酔いしれる。閉じた世界で完結している人たちの、カルト的洗脳感・・・あぁ、なんて気持ち悪いんだろう。だからなんだよね、現実世界で躓いてしまうのは。SNSの中こそが輝ける現実、底辺生活なのは歯並びが悪いから。そうやって何かのせいにして、そして引き返せなくなって。

2019/01/02

のり

3話からなる短編集。正直、共感できる人は皆無だった。SNSにとりつかれた者達。インスタにアップする事に懸命になり、浅い人間関係しかつくれない。人一倍、他人の視線や言動に敏感になりながらも、ノリの発言に寄りかかるしかない。判断力低下が痛々しい。ネットショッピングに嵌まった主婦も生活基盤が崩れるだけ。動画撮影の夫婦もまた病んでいる。不可解な現実も多様化している。

2019/02/20

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