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冥途あり (講談社文庫)

冥途あり (講談社文庫)

冥途あり (講談社文庫)

作家
長野まゆみ
出版社
講談社
発売日
2018-11-15
ISBN
9784065132135
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あらすじ

川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだった──と信じていた。亡くなってから父の意外な横顔に触れた娘の家族のルーツを巡る旅が始まる。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。第43回泉鏡花賞、第68回野間文芸賞受賞作。

冥途あり (講談社文庫) / 感想・レビュー

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rico

この人の文章好きだなあ。千住界隈の川筋の風景、水郷地帯を行き交う小舟。行ったこともないあの時代のあの場所の空気感が溢れてて、引き込まれる。描かれるのは父の死と葬儀や遺品をめぐるあれこれや、記憶、親戚の昔語りから見えてきた壮絶な人生。そして今。昭和初期・戦中・戦後と生きぬいた多くの市井の人がそうであるように、平凡な日常と地続きのところに、例えば死体の山の中を歩きまわった記憶が埋まってる。淡々とした語り口で、歴史に残らない多くの人生があることを思い至るが、密度の濃さでは平成は昭和にはかなわない気がする。

2018/12/04

miu

東京生まれ東京育ちの父は被爆していた。父の死と父を取り巻く親戚たち。ずっと古い8ミリフィルムを観ているよう。静かに淡々と語られる長野まゆみさんの父のお話。疎開先の広島で原爆にあったという。県外から来た人はこういう風に受け止めていたのか。ずっと広島に住み続けている人たちとはまた違った感情がそこにはあった。死は真実と空想の境目にあるのかもしれない。死者の本音は一生わからず、こちらはただただ残された者たちで、思い話し続ける。ずっとずっと境目を漂っている。

2019/01/05

たけはる

ひさびさの長野節。この方の話を読んでいると、「小説ってのは、いかにホラをうまく書くか(そしてそれを楽しむか)って面があるよなあ」としみじみ思う。長野さんの、このひょうひょうと嘯かれる「ホラ」がおもしろくってならないのだ。 あと、描かれる昭和の風景がいつも好き。私も「平成生まれ」ゆえ実物は知らないものばかりなのだけれど、そこはかとなく心惹かれる。 梓と真の双子が、いかにも長野少年にいそうな性格なのもフフっとしました(この双子はだいぶ巨漢に育っちゃったようですが)。

2018/12/05

イシカミハサミ

収録の2篇は世界観を同じくする。 わたしからわたしの親、祖父母、親族へと ひろがっていく“わたし”の認識から 遡った時間軸での生と死の物語がひろがる。 先人へのオマージュも随所に散らばった作品。 「私」が「個人のみ」を差すようになったのって、 最近のことだなあ、と思う。

2019/02/04

あられ

語り口が心地よかった。どこかリズムがあるような、階段をトントンと降りていくように、次から次に進んでいく!べらんめちょうの江戸っ子の語り口なんだろうか?あっという間に読み切ってしまった。昭和回帰みたいなものとはちょっと違うのだが、語り継がれたという様相で当時のことが見えてくる。面白かった。

2019/01/24

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