水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)
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「水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス)」のおすすめレビュー
実は飯テロ作品?広瀬すず主演『水は海に向かって流れる』の原作マンガの魅力を知ってほしい
『水は海に向かって流れる』(田島列島/講談社)
筆者は職業柄、たくさんのマンガの紹介記事を書く機会があります。でも、本当に好きな作品ほど語彙がどんどん消失してしまうんです。例えば、先日、広瀬すず主演で実写映画化された『水は海に向かって流れる』(田島列島/講談社)。本作に至ってはとにかく好きすぎて「とても好きです」以外の言葉が出てきません。
なので、この記事では、本作のどの部分が「とても好き」なのかを書いてみたいと思います。
##怒るのを諦めたOLと、怒りたい男子高生の奇跡の出会い
進学する高校が自宅から遠いため、叔父の家に居候させてもらうことになった熊沢直達。引っ越しの日、最寄り駅に迎えに来てくれたのは何故か叔父さんではなく、初対面の大人の女性・榊さんでした。「叔父さんと同棲している彼女…?」と訝しく思いながら案内された家は、想定外のシェアハウス。そこには叔父さんと榊さんだけでなく、他にも女装占い師や世界を旅する大学教授が暮らしていました。彼らと生活を共にするうちに、直達は榊さんに不思議な気持ちを抱くようになります。
しかし、この榊さんと直達には、…
2023/6/22
全文を読む「今月のプラチナ本」は、田島列島『水は海に向かって流れる』
『水は海に向かって流れる』(1~2巻)
●あらすじ● 高校への進学を機に、学校から近いおじの家に居候することになった少年・直達。だが最寄りの駅に迎えに来たのは、見知らぬ大人の女性・榊さんだった。案内された家の住人は26歳OLの榊さんに、なぜかマンガ家になっていたおじさん、女装の占い師、眼鏡の大学教授と曲者ぞろい。直達を加えた男女5人での奇妙な共同生活が始まるが、ある日、直達は榊さんとの間に思いもよらぬ因縁があることを知ってしまい――。 たじま・れっとう●2008年前期MANGA OPENにて、さだやす圭賞を受賞。田谷野歩のペンネームで『モーニング』に読み切り「ごあいさつ」「官僚アバンチュール」を発表。ペンネームを変更後、「おっぱいありがとう」「お金のある風景」などの読み切りを発表し、14年、『子供はわかってあげない』で連載デビュー。18年より『別冊少年マガジン』にて『水は海に向かって流れる』を連載中。
田島列島講談社マガジンKCDX 各620円(税別) 写真=首藤幹夫
編集部寸評
自分の選択は、人に何を及ぼすのか 人は何かを選んで生…
2020/2/6
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映画『水は海に向かって流れる』公開記念! 原作者・田島列島×ピース・又吉直樹スペシャル対談――「映像化されたことでグッときたシーン」
2023年6月9日より全国で公開となった映画『水は海に向かって流れる』。マンガ好きで自身のYouTubeチャンネルでも原作ファンであることを公言しているピース・又吉直樹さんと、原作者である田島列島さんとの対談が実現。本作についてはもちろん、自身の作品の映画化のことや、お互いリスペクトしている作家同士として創作活動について語り合っていただいた。なお、この対談の本編はYouTubeで公開されているので併せて楽しんでいただきたい。 取材・文=立花もも
又吉「他のどの作品とも重ならない群像劇」
又吉直樹さん(以下、又吉):マンガ好きの芸人と情報交換するなかで、『水は海に向かって流れる』がめちゃくちゃおもしろいという噂を聞いて。すぐに買って読んでみたら、確かにめちゃくちゃおもしろかった。僕、自分でもコントや小説を書くので、次の場面がどうくるのか想像するのが好きなんですよ。当たることも多いんですが、田島先生の作品はいつも先が読めない。感情もセリフもど真ん中ストレートではなく、かといって変化球すぎもしない、絶妙にズレたところからやってくるんですよね。その刺激が…
2023/6/17
全文を読む傑作コミック『水は海に向かって流れる』が待望の実写映画化! 原作者・田島列島×主演・広瀬すず対談
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年7月号からの転載になります。
2020年の弊誌「プラチナ本 OF THE YEAR」も獲得したマンガ『水は海に向かって流れる』。著者の田島列島さんは手塚治虫文化賞新生賞を獲得し、今、もっとも注目されるマンガ家の一人だ。実写映画化を記念して、改めてその魅力に迫った。
文:立花もも
最初に浮かんだのは、木立の道を二人が静かに歩く姿だった、と以前弊誌でのインタビューで原作者の田島列島さんは言った。映画『水は海に向かって流れる』もまた、二人が並んで歩く姿から始まる。高校進学を機に、叔父の住む家に身を寄せることになった直達と、傘を持って彼を迎えに来たシェアハウスの住人で26歳のOL・榊さん。雨の音は激しいが、闇夜に街灯がほのかに反射するその情景はとても、静かだ。原作とは違って、直達が叔父さんの彼女だろうかと疑う心の声は描かれない。けれど、これまで自分の日常には入り込む余地のなかった大人の女性と二人きりで歩くことの戸惑いは、少し離れて歩くその後ろ姿から伝わってくる。 そんな、冒頭の数分で、掴まれる。ああ、これは直…
2023/6/8
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水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
なんとなく買ってみたパンがとても美味しかった、そんな不思議な感覚(よく解らない、笑)。高校進学を機に、叔父が住むシェアハウスに身を寄せた直達。ちょっと変わった大人たちに囲まれた日々。けれど住人のひとり、榊さんとは知られざる因縁があって。直達にも榊さんにも罪は無いのに、家族の過去が歪な壁を造り出す。ふたりの真面目な懊悩をよそに、周囲の人々の困惑が不思議と優しい笑いを醸し出すのが良い。映画化するみたいだが、この空気を表現できるのだろうか?
2023/02/25
ネギっ子gen
家族のもとを離れて始まる、家族の物語。高校への進学を機に、おじさんの家に居候することになった直達。駅に迎えにきたのは若い女性の榊さん。家の住人は、26歳OLの榊さんと、なぜかマンガ家になっていたおじさんの他にも、女装の占い師、メガネの大学教授といずれも曲者揃い。ここに高校1年生の直達を加えた男女5人での一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まったのだが、直達と榊さんとの間には思いもよらぬ因縁が――。“ミスター自制心”・直達の、【俺がいなければ、この人の肩が濡れることはなかったのに】という想いが、切なく……。 ⇒
2022/01/24
ぐっち
田島列島さんの!新刊が!出ましたよ!!家族に内緒で漫画家をやっているおじの下宿先には、腹違いの姉、女装している同級生の兄、そしていろいろ知ってそうな教授と、まさに田島列島全開、ほんのり青春風味のもやもや感。続きも気になります。
2019/05/18
アマニョッキ
お気に入りさんの感想より。好きだなー、すごく。なんかうまく言えないけど本当に好きなかんじ。ちょっとみなさん喋りすぎな気もするけれど。2巻へむかいます。
2019/12/24
さおり
お気に入りさんの感想に釣られて買った本。非常に好みな感じの荘モノでした。マンガに疎い私は、読書メーターやってなかったら知ることなかったんだろうな、この本も作者さんも。あぁ、ありがたや。心に残るフレーズが随所にちりばめられているため、読んでいてふふっと笑ったり、じっと考え込んだり、なんだかざわざわしたり。そんなこんなで、ちょっと時間かかって読みました。で、なにげに重いんだわ。いや、荘モノにはやっぱ、薄暗さが必須やもんね。
2021/02/11
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