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やがて海へと届く (講談社文庫)

やがて海へと届く (講談社文庫)

やがて海へと届く (講談社文庫)

作家
彩瀬まる
出版社
講談社
発売日
2019-02-15
ISBN
9784065145289
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あらすじ

すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。

「やがて海へと届く (講談社文庫)」のおすすめレビュー

3・11東日本大震災の記憶と向き合い続けた彩瀬まる『やがて海へと届く』が待望の文庫化!

『やがて海へと届く』(彩瀬まる/講談社)

「絆」 「がんばろう日本」 「がんばろう東北」

 2011年3月11日からおよそ8年。あの日に思いを馳せると、まるで一瞬、時が止まったかのような気持ちになる。当時、私は引っ越しを済ませたばかりで、慌ただしい日常を過ごしていた。いち段落して仕事から帰ると、積み上げていた段ボールが崩壊していて、もし自宅にいたら、崩れた荷物で怪我をして今頃……と背筋がぞっとしたのを覚えている。

 2010年に『花に眩む』で「女による女のためのR-18文学賞」を受賞し、新たな世界に夢を抱いていた彩瀬まるさん。彼女は友人を訪ねるために乗った仙台から福島へ向かう電車の中で、東日本大震災を迎えた。九死に一生を得たこの体験を2012年に出版したノンフィクション『暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出』(彩瀬まる/新潮社)で語り、反響を呼んだ。

 4年後の2016年2月、震災によって友人を失った主人公の再生を描いた小説『やがて海へと届く』(彩瀬まる/講談社)が出版され、第38回野間文芸新人賞候補に選出。そしてこの2019年2月、ついに文…

2019/3/10

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やがて海へと届く (講談社文庫) / 感想・レビュー

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タカユキ

東日本大震災で死んでしまった人と残されてしまった人達が過去を振り返り現実を受け入れていく物語。居るのが当たり前だった人を失う。亡骸があれば納得するだろう。死んでしまったのかと。生きているか死んでいるのか分からない。死を認めたくないという葛藤。大事な人を忘れてしまう事は決して出来ない。生とは、死とは、愛する事とは何だろう。各章毎に挟まれる幻想的な光景が、容易い感情移入を拒むからこそ考えてしまう。色々な事を生きる糧にしていく!背中を優しく押してくれる作品でした。

2019/03/10

ピロ麻呂

震災で親友すみれを喪った真美。周りがすみれのいない現実を受け入れようとするが、真実はそのことに疑問を持ち続ける。身近なひとを亡くした喪失感は計り知れないけれど、時間が少しずつ解決してくれるはず。現実と向き合い、自分の人生を悔いなく歩むことが一番の供養になると思う。

2019/03/04

rico

あの日、行方不明になった親友のすみれ。受け止め切れない真奈。唐突に断ち切られた大切な人とのつながり。3月11日、そんな別れがどれほどたくさんあったのだろう。それでも、残った者は生きていかなければならないし、別れの言葉を交わす暇もなく旅立った者たちの魂が、安らかなることを祈ることしかできない。 すみれは歩くことが好きだった。真奈も一緒に歩いた。速くはない。でも、ここではない次の場所に行くための確かな一歩。鎮魂と希望。襲いかかる津波から逃れ、生きのびた彩瀬さんだから書けた物語だと思う。祈り、そして未来へ。

2019/03/14

エドワード

東日本大震災から8年。いまだ行方不明者が2533名。真奈の親友のすみれも「ちょっと息抜きに出かけるね」と言って消息を絶った。8年は長い。すみれの家族も恋人も彼女の生を諦めている傍で、彼女の死を受け入れられない真奈が辛い。真奈の職場でも、店長が突然自殺し、新店長の下で店は変わっていく。日常は常に変化し、日々新しくなることを物語る。諸行は無常だ。この作品は真奈の視点で語られる章と、ある女性が崩壊した街を歩く謎の章が交互に綴られる。<そしてやがて海へと届く。>前を向こうよ。真奈は生きていかねばならないのだから。

2019/03/08

ぐっち

同時発売の「暗い夜、星を数えて」を見て、そうか3・11の話なのかと合点がいった。あれから8年。ずっと東京に住んでいて、被害にあったわけでもないのに、こういう本を見かけると読んでしまうのは何なのか。お話は、震災で友人を亡くした28歳の真奈のパートと、謎の女性の幻想的なパートが交互に繰り返される。死んでからも歩き続けるのはしんどいなあと思いつつ読んだけど、生き残った人の再生に向かう行程なのかもしれない。

2019/03/09

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