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壺中に天あり獣あり

壺中に天あり獣あり

壺中に天あり獣あり

作家
金子薫
出版社
講談社
発売日
2019-02-28
ISBN
9784065147665
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壺中に天あり獣あり / 感想・レビュー

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みも

博覧強記かつ頭脳明晰・沈思黙考…そんな著者の像を勝手に描く。才能ある方なのだろう。しかしながら僕には、その真意を汲み取る能力がないようだ。タイトルは「後漢書」からか。迷宮の彷徨の後、偽装の安住を喜ぶ主人公は、壺の中で束の間の酒宴に昂ずる男と同義であろうか。登場人物名に意味があるのだろうが、仏教教義「八大人覚」と名付けた寓意は僕には解からず。その意味では主人公「光」獣玩具技師「言海」の名前にも深意があり、二人はある種「対」を成すのだろう。この中に人生訓話を読み取る事も可能だが、いずれにしても超観念的で難解。

2020/09/05

jam

人はどこから来て、どこへ行くのか。私たちの存在の根源は何なのか。迷宮は、その問いそのものであり、果ての無い壺中にあった。宗教も科学も物理も文学も、道筋が違うだけで等しくその答えを求めてやまない。それは、一縷の希望にすがり、片鱗を積み上げ瓦解を繰り返す、絶望しながらも進む人の姿そのものである。与えられたものか、生まれたものか。迷宮を生きる人間を俯瞰するのは神の視点なのだろうか。祈りは、永遠の不確かさ故に捧げられ、人は幸福を求めるのか。寓意の物語に意味を持たせるのはひとりひとりであるから、正解は無い。

2019/05/27

(C17H26O4)

無限の迷宮を彷徨うのか、作り物の天地を受け入れるのか。狂気なのか、悟りなのか。中の外は中。外の外は中。この物語に寓意はあるのか。八大人覚の法門と取るか。光という名前の意味は。浮かんだ言葉は時灯明、法灯明。光は涅槃への修行に向かったのか。読み取ろうと探るわたしは言葉によって造られた迷宮、壺の中。

2019/05/05

mii22.

意地の悪い寓話に幽閉されていると思い、蝶となって高く飛ぼうと望んだ主人公「光」だが、やっと見つけた迷宮の出口は新たな迷宮の入口であり、それらすべては誰かに創られた壺中にすぎなかった。壺の外には出ることができるのか、またそこには何があるのか、私にもわからない。ではその壺はいったい誰によって創られたのか、それは自分の心の空洞かもしれないし、あるいは..ただ言えるのは、どんなに居心地のよい場所を創ろうとも贋の世界ではやがて色褪せ魅力のないもになり、その先に未来がないことに気づくだろう。

2019/06/07

らぱん

すごく面白い。新しさを感じた。 主人公は無限の迷宮であるホテルに幽閉されているのだが、無限も迷宮も比喩であると冒頭で明言してしまう。自身が「譬えを完成させるべく幽閉されて」おり、虚構の人物としての「役割」を自覚している。彼は迷宮が自分の存在なくして迷宮たり得ないとまで知っている。 我々はどこからきてどこへ行くのか。命題に解は無いという解を提示する。創造と破壊を繰り返し、道に迷い続け、問い続ける。 潔い葛藤の無さに痺れて、諦念とも違う感覚を味わい、新鮮な驚きをもって没入した。…ファンになりそうだ。↓

2020/08/21

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