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雲をつかむ話/ボルドーの義兄 (講談社文芸文庫)

雲をつかむ話/ボルドーの義兄 (講談社文芸文庫)

雲をつかむ話/ボルドーの義兄 (講談社文芸文庫)

作家
多和田葉子
出版社
講談社
発売日
2019-04-12
ISBN
9784065153956
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雲をつかむ話/ボルドーの義兄 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

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佐島楓

〈大学図書館〉多和田作品には外国にいる自分、という圧倒的な孤独感をいつも感じる。収められている二編は、どこから切っても読めるような特殊性を持ちながら、物語の外から見ている自分、つまり著者の強い統制力も感じるため、不安にはならない。でもこの世界は完全に多和田さんにしかお書きになれないだろう。

2019/07/10

はちめ

『雲をつかむ話』は私小説風ミステリー。比較的読みやすい作品。いくつかの文学賞を取っているのもうなずける。☆☆☆☆☆ 一方、『ボルドーの義兄』は言葉から発祥した印象の積み重ねのような作品。反転させた漢字が章立てのようになっているが、変化が激しく続けて読むのが辛い。☆☆☆★

2021/05/05

erierif

『雲をつかむ話』は再読。前に読んだ時は独特の実験的な書き方に戸惑いつつ読んだけど今回はより読めた気がする。訪ねて家に入れた男に前科があったというエピソードはよく覚えていた。多和田葉子は難しいようでいて感覚に訴えるような記憶の深いところ無意識に入り込むような不思議なところがあって好き。雲とは何か?罪、刑罰、犯罪者、白黒をつけるのではなく罪と罪がないという境界について自然と考える話が多かった。『ボルドーの義兄』ドイツの港に入ってきた韓国船の漢字「現代」という会社名を日本語の「げんだい」と変換し(続く

2019/07/06

ひでお

和多田さんの作品は、記憶と妄想とがないまぜになった、不思議な読後感です。ヨーロッパとアジア、女性と男性、家の中と外、右と左というような2面を反転して見せる表現が印象に残りました。「ボルドーの義兄」は主人公がどんどん過去や記憶や想像をたどりながら時を行ったり来たりする感触がおもしろいと思いました。

2020/05/29

圓子

【雲をつかむ話】『犯人』を鍵にして紡がれていくとりとめのない記憶、事件。とおもっていると、それぞれの根っこが現実にあることと知り、とりとめがないなどと暢気なことを言っていていいのかとぞっとするような記述も見える。急に突き付けられて身が縮んだのは、震災文学としての一面。こんな恐怖があったか容易に想像できる状況があったのかしら。中にいるわたしには実感しえなかった震災の姿。一度気づいて以来、作者のシスターフッドやブラザーフッド的なモチーフにすごく目がいくようになった。

2022/05/29

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