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藤澤清造追影 (講談社文庫)

藤澤清造追影 (講談社文庫)

藤澤清造追影 (講談社文庫)

作家
西村賢太
出版社
講談社
発売日
2019-05-15
ISBN
9784065155103
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藤澤清造追影 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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gtn

大正期小説デビューするも酷評され、梅毒で脳を病み、最期は公園で凍死した藤澤清造と己を重ね合わせる著者西村賢太氏。「(藤澤の)全集さえ完結出来たら、もう、あとはいつ死んでもいい」と宣言し、藤澤の墓の隣に自分の生前墓まで建ててしまう。本気だったのだろう。すべて叶った。叶ってしまった。著者、本年2月突然死。享年54。

2022/05/14

sashi_mono

大正期の私小説作家・藤澤清造にまつわる文章群と、愛憎あわせもつ東京の街を追想するエッセイ「東京ものがたり」の二本立てという構成。凍死という悲惨な末路をたどりながらも、生前、人の縁に恵まれた「師」の清造。対照的に、人に突き放される(人を突き放す)縁のない生涯を送ってきた、「没後弟子」たる著者。「地方」と「東京」という点からも、それぞれの相貌がきわだってくる。

2020/02/17

田中峰和

芥川賞受賞時、いきなり風俗の話題を提供した西村賢太。その露悪家ぶりが新たな読者を掘り起こす。苦役列車の映画化に関しても、一切不介入を宣言しながらも試写会後の本音が彼らしい。主演の森山未來のセリフ回しの気持ち悪さを指摘。あきらかにコミュ障を抱えた人物に描かれたことが気に食わない。何か脳に欠陥を抱えているような演技もいただけぬ。あの俳優は「いだてん」でも過剰な演技がキモイのも衆目の一致するところ。性犯罪者の父への恨みはともかく、母への反発も根強い。家族との縁を切って、藤澤の命日に墓参を繰り返す不思議な人物だ。

2019/09/29

ライム

西村氏が故人となられた今読むと、また一種異様な感動がある。悲壮な最期のイメージで誤解と偏見でしか語られなかった清造を、ここまでの熱量で弁護し、真価を世に問う行為には感服する。それもただ推すだけでない。「過去の怨みへの満を持した復讐、見極めた怒りの正体への挑戦」などと作品を評するセンスが面白い。「生き恥にまみれながらも、ダメならこの世からオサラバすればいいだけのこと、と前進し続けたコケの一念」の人物紹介も、ある意味偉人っぽくもあり確かに勇気付けられもする。

2023/09/23

検尿泥棒

本屋で読んでない西村賢太の本を見つけたので迷わず購入。藤澤の作品も読んでみたくなる。東京者がたりの神宮球場について書かれている部分を読んでこんなこと自分しかやってないだろうなぁと思うことも案外やってる人が他にもいるという場合がけっこうあるのかもしれないと思った。他の作品の材料になった体験について書かれている部分が興味深く読めた。ちょっとまえに「苦役列車」を読み返してこの本を本屋で見つけてまた西村賢太にハマり出した。

2019/06/16

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