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川っぺりムコリッタ

川っぺりムコリッタ

川っぺりムコリッタ

作家
荻上直子
出版社
講談社
発売日
2019-06-27
ISBN
9784065160282
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川っぺりムコリッタ / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

生きてる限り人との関わりを持たずにいることの方が不可能だな。主人公はアパートに入居して早々に美しい大家に心を惹かれるし、ずけずけ介入して来る隣人との関係も生まれる。社会から外れたと思っても引き戻される。煩わしいことと心地よいことはともに存在していて煩わしいことから逃げてばかりでは済まないのが人生。幽霊の設定以外は隣人たちの個性がそれほどでもなく、台風一過の爽やかさもややあっさり。一人分の料理というのは作っても余ってしまうし、一緒にどうですかという経験もある。一緒にお肉をつつくのは家族の食卓にも等しいな。

2019/07/28

ちょろこ

大事なことが詰まっていた気がした一冊。ちょっと世間からドロップアウトした人たちが繰り広げる日常。各々が見つけ感じ学びとった大事なことがさりげなく口からこぼれていく瞬間がとても良かった。それを自然と吸収して、日々変化していく山田くんにじんわりきたな。丁寧に、些細なことにシアワセを感じること、忘れがちだけどとても大事なこと。どんな人だって思いっきり感じていいよね、感じるべきだよね。桃色、紫色、今日という日が閉じていく時間の空がなぜこんなに美しい色をしているのか…一日の終わりを告げる空が今、とても愛おしい。

2019/08/03

なゆ

荻上さんが書いたと思うと、なんとなく映像で浮かぶ。はじめは白黒の寂しげな味気ない映像、でもアパートに移ってからの生活には、少しづつ色付きはじめて、まばゆく明るくなっていく。最後はびっくりするくらい美しい紫の空がいい。川っペリに建つ、昔ながらのボロいアパート“ハイツムコリッタ”。親には捨てられ気づけば犯罪を犯し、出所してきた山田くんの辿り着いたところ。どこかワケアリそうな、世間から置いてきぼりをくらってしまったような住民たちと関わるうちに…。ささやかなシアワセくらい誰だって感じていいから、一生懸命生きよう!

2019/07/28

nico🐬波待ち中

一人でよかったはずだった。誰とも関わらずひっそりと暮らしていくと決めたはずだった。そうやって人生を諦めていた彼はささやかなシアワセを実感していく内に、生きる喜びを見出だしていく。川っぺりに佇む古びた木造アパート"ムコリッタ"で。誰かと一緒にご飯を食べる。話をする。笑う。その一つ一つはささやかだけれど、何ものにも代え難いシアワセなのだ。そのことに気が付いた彼は、昨日よりももっとシアワセだ。一人でも生きていけるけれど、誰かと一緒がずっといい。いつも見ている夕焼けも、誰かと一緒なら、ずっと綺麗に思えるはずだ。

2020/01/10

おしゃべりメガネ

大好きな映画の1つ『かもめ食堂』の監督が綴る、なんともいえないヒューマンなお話。ちょっとした前科のある主人公は流れに流れて、とある塩辛工場で働くことに。住んでるアパートはちょっと不思議な入居者がいる「ムコリッタ」というところ。人と人とが寄り添い、自然の流れで伝わる優しさの描写がなんともいえないステキな作品です。ほっこりレベルが高いわけではなく、どちらかというと低めのトーンで展開していきますが、不思議とネガティブなキモチにはならないです。さすがあの名作『かもめ食堂』の監督さんだけに、ステキな作品でした。

2023/01/19

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