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ノモンハン 責任なき戦い (講談社現代新書)

ノモンハン 責任なき戦い (講談社現代新書)

ノモンハン 責任なき戦い (講談社現代新書)

作家
田中雄一
出版社
講談社
発売日
2019-08-21
ISBN
9784065168578
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ノモンハン 責任なき戦い (講談社現代新書) / 感想・レビュー

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えちぜんや よーた

「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生も一兵卒として南方戦線に出征した。曰く「参謀はすぐ逃げる」。この本を読むと下士官兵に多数の戦死者を出したわりには、机上で戦術を立てるだけの参謀は確かによく生き残っていたと思う(もちろん戦死したら良かったのにとは言わない)。生き残った人も人ごとの話をしているようで、2019年の言い方で生き残った参謀や師団長クラスの高級将校を表現するとまさしく「50G」な人たちだ。ただ辻政信少佐(当時)はどのように評価すれば良いのか分からない。

2019/12/06

skunk_c

丁度80周年のこの時期に、テレビ番組とリンクしたノモンハンものが出た。先のソ連の戦略を念頭に置いて読んだ。戦いそのものについてはコンパクトで分かりやすく、モンゴルの衛星国化、戻った元捕虜の扱い、孤立する中撤退した指揮官が自決に追い込まれた件など、先行業績を上手く取り込んでいる印象。最大の特徴は、辻政信について、遺族への取材を通して、再評価を試みたこと。ここから見えるのは、辻に責任をなすりつける構造で、これは旧軍というより、メディア自体の問題に思えた。タイトルの「責任なき」はそこに通じる。

2019/08/28

樋口佳之

前著からの流れで積ん読解消。/辻は対米開戦を所与の前提として議論を進め、若手参謀が異論を唱えると、「偉大な迫力」によって圧倒していった。服部も辻の議論を支持し、作戦課は対米開戦一色/辻はこう付け加えたという。「日本軍が必勝の信念を抱いて作戦すれば、必ずや勝利はわが手に帰する。わが輩は貴様に忠告する、勝算の有無を問題にする前に、まず必勝の信念を抱けとな……それが武人たる者の心がけだ」/辻服部両氏、一度は更迭されているのに…。ノモンハン総括も日の目を見る事無く。十分合理性を重んじる組織とは言えないだろう。

2020/07/10

Toska

2018年に放映されたNHKスペシャルが下敷き。内容的にさほどの新味は感じないが、存命のノモンハン参戦者や遺族の証言はこの手の媒体ならではと思う。とりわけ辻政信の出身地や遺族への取材。彼のように悪評のみ高い人物でも身近な人々には全く別の顔を見せている可能性のあること、一方で歴史的評価はそうした「人間的側面」とは別次元の問題であることがよく分かる。あと、大本営の参謀が「辻の首さえ切ってしまえば関東軍は統制できる」と発言していたのが何とも。少佐の人事が国策を左右するってんだから、もう無茶苦茶だよな。

2024/03/06

藤瀬こうたろー

軽々しく感想を書くことはできないと思ってしまうほど重苦しいドキュメントです。本書は太平洋戦争の前段で行われたノモンハン事件を描いた作品ですが、敵の過少評価、物資等補給の軽視、極端な精神主義や兵器の近代化の軽視と太平洋戦争での敗因が全部揃っています。そして、軍の上層部の責任逃れと下士官への責任の押し付けは現代にも通ずるところがあり、もはや日本人の負の部分と言ってもいいのでは?諸悪の根源みたいに言われている辻政信の人間味の部分にも光を当てたのは良かったですが、絶対悪とは言わないまでも責任は免れないでしょうね。

2020/03/24

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