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レンマ学

レンマ学

レンマ学

作家
中沢新一
出版社
講談社
発売日
2019-08-08
ISBN
9784065170984
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レンマ学 / 感想・レビュー

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yutaro sata

線的、時間的に物事を把握していこうとするロゴスに対して、全体をいちどきに掴んでいこうとするレンマ。しかし言語は、脳は、ロゴス的な世界であり、レンマをどう学問として成立させるのかは難しそうに見える。しかしその難しさを突破し得る可能性があるのは現代数学というものの存在があるからだという。情報縮減という姿を取る圏論、物事の顕在、伏在を表現することのできる複素数の話など、高等数学には今のところ縁がないのだが、その道に分け入りたいという欲求の高まる読書体験だった。刺激的。 始まりは熊楠、粘菌。

2023/03/30

Bartleby

ロゴスを原理とするリニアな西欧的な知ではない、ノンリニアなレンマ的知を求めて。本書は「華厳経」に関する研究を土台に、南方熊楠、タコの神経系(分散型)、粘菌、量子力学etcに言及。この種の本は中沢新一のそれも含めていくつか読んだけれどいつもモヤモヤする。レンマ的な知を本書みたいにリニアな文章で説明することにどんな意味があるのかいまいち判然としないからだ。かといって仏教の修行などをする気もない私のような凡人には、レンマ的な知の重要性はわかるものの、いろんな分野の上澄みだけを掬っただけのもどかしい本でしかない。

2022/10/19

レンマ学とは何か。語源的には物事をまるごと把握することとのこと。物事を順序立てて整理する論理的思考(ロゴス的思考)を対局に話は展開する。論理的思考は人間の進化の過程で成長してきたが、根にはレンマ的思考があるようだ。ある物ない物がお互いに影響し合い動き続けているこの世を、意識と無意識から体系化する学問とも言えるのか。よく数学者は数式を考える前にそのイメージが頭に浮かぶという。ライプニッツの微積分やアインシュタインの相対性理論などを本書では引き合いに出したが、そういう思考には無意識が作用しているのかな。

2022/02/13

izw

古代ギリシアでは理性に「ロゴス」と「レンマ」があると考えられていた。西洋では「ロゴス」が重要視されてきた。東洋では、直観によって全体をまるごと把握し表現する「レンマ」が重要視され、大乗仏教は全体がレンマ的知性・縁起の論理学で貫かれている。その高度な産物が『華厳経』であり、法蔵が『華厳五教章』で哲学的体系にまとめた。南方熊楠は縁起の論理に基づく新しい科学を創造すべきと説いた。両否の論理という同一律、矛盾律、排中律の成り立たない論理を基に4種の法界を展開する。心理学・量子力学を包摂するレンマ学を築いている。

2022/07/20

amanon

中沢氏の著作を読むたびに覚えるもやもや感は、本書でも例外ではなかった(苦笑)。かなり難解で、理解の程は怪しいとはいえ、それでも非常に刺激的な内容で、かなりの知的興奮を覚えたものの、やたら大風呂敷を広げられた感が否めない…これまで読んできた市の著作の殆どが、このように大風呂敷を広げ、あたかも全く新しい思想が到来する(あるいは実現する)かのような説を提唱しながら、結局それらの説へのフォローが尻すぼみになっている気がするのだが…著者後書きで本書の続編が示唆されているが、果たしてそれが事項されるのか?ちと疑問。

2024/04/15

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