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会いに行って 静流藤娘紀行

会いに行って 静流藤娘紀行

会いに行って 静流藤娘紀行

作家
笙野頼子
出版社
講談社
発売日
2020-06-18
ISBN
9784065190708
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会いに行って 静流藤娘紀行 / 感想・レビュー

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Bartleby

この作者の小説タイトルはいつもすばらしい。「水晶内制度」「タイムスリップ・コンビナート」など。本作は私小説作家・藤枝静男に私淑する作家が書くその名も「師匠説」。彼女は群像新人賞を受賞するにあたり藤枝氏に激賞され涙まで流さしめたらしい。いわば今や守護霊のような存在。そんな師に初めてまっこうから向き合ったマジックリアリズム小説ならぬマジック私小説。相変わらず尖っていて良い。思えば中学生のときたまたま彼女の小説を読んだ時だった、小説を初めて芸術と意識したのは。

2022/11/25

三柴ゆよし

師と仰ぐ作家、藤枝静男に捧げる私小説もとい師匠説とのことだが、そこは笙野頼子のことである、ただの師匠リスペクト小説にはなっていない。多くの引用、身辺雑記、時事ネタ……etcがプリコラージュされることで、藤枝静男について語ると同時にじぶん自身のこともちゃっかり饒舌に語りまくる。「私」という糠床に「師」という素材をぶち込んで、そうして生まれたものは「私」なのか、それとも「師」なのか? 何について、誰について書いても要するに「私」に収斂していってしまう、小説の業を感じる作品。藤枝静男を再読したくなった。します。

2020/09/04

kenitirokikuti

図書館にて。2020年刊行、群像に連載。純文学には不案内なので、私は藤枝静男を知らなかった。手元にある国語便覧(正確には新国語総合ガイド、初版2003年で、四訂2018)には藤枝の名前はない。藤枝は志賀直哉の弟子ないし友人、白樺派の裔で幻想みの強い特異な私小説の書き手。国文科で現代文学をやる人間に知られているという感じかな。藤枝は読むに値するというと見たので本書は再読しよう▲本筋とは関係ないが、トランスジェンダーの件で笙野が日本共産党と袂を分つ直前のものだ。今では女性中心の福祉の党のようだ、と書いている

2023/06/11

小谷野敦

藤枝静男は群像新人賞選考委員だった時、最終選考に残った笙野頼子の「極楽」を、泣いて推して受賞させた恩人であり「師匠」だという。しかし名前は消してあったので藤枝は50代の画家の私小説だと思っていたから若い女だと知って呆然としたという。だが笙野は、大庭みな子とか、世話になった作家への恩義で生きているので厄介だ。いつもよりは攻撃性の少ない文章だが、途中から「志賀直哉・天皇・中野重治」の話になり、天皇制批判から中野重治の「暗夜行路雑談」に対する妙ないちゃもんになってきて、そこで読むのをやめた。

2023/07/20

うさぎや

私小説ならぬ「師匠説」。その「師匠」の作品を読んでいないので多少難しいところもあったが、とにかくとても気になった。

2020/06/21

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