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じんかん

じんかん

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作家
今村翔吾
出版社
講談社
発売日
2020-05-27
ISBN
9784065192702
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「じんかん」のおすすめレビュー

青年武将がなぜ「悪党」に?『麒麟がくる』で吉田鋼太郎が怪演した松永久秀の生涯

『じんかん』(今村翔吾/講談社)

「この人は善人」「あの人は悪人」と、私たちは無意識的に人間をカテゴライズしがちだ。そうして、自らが善人側に立っているという確信が持てた途端、徹底的に悪人側を叩く。だが、世の中には、善も悪もないのではないか。人には誰にだって善い面もあれば、悪い面もある。一面だけを見て判断することなど無意味。ましてや、偏った情報だけで、誰かを叩こうとすることなど。そんなことを思わされたのは、とある歴史小説だった。

 その歴史小説とは、今村翔吾氏の『じんかん』(講談社)。直木賞候補作にも選ばれたこの作品は、戦国〜安土桃山時代に活躍した松永久秀の姿を描き出した壮大なエンターテインメント小説だ。あなたは、松永久秀、という名を聞いてどんなイメージを思い浮かべるだろうか。最近では、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、吉田鋼太郎が怪演していることでも知られるが、もしかしたら、歴史好きでないとピンとこない名かもしれない。

 しかし、歴史好きからすれば、松永久秀といえば、「稀代の悪党」。仕えた主君を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くしたとい…

2020/7/31

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【全作品紹介】太宰治の孫・石原燃のデビュー作も候補に! 第163回芥川賞・直木賞ノミネート

 日本文学振興会が主催する「第163回芥川賞・直木賞」のノミネート作品が、2020年6月16日(火)に発表された。この記事ではそれぞれの候補作について、読者からの反響を交えながらご紹介。「どんな作品があるのか気になる!」という人は、ぜひ参考にしてみてほしい。《紹介順はそれぞれ著者名五十音順》

芥川賞候補(1) 石原燃『赤い砂を蹴る』(『文學界』6月号)

『赤い砂を蹴る』(石原燃/文藝春秋)  今回の候補作のうち、最も話題を呼んでいる作品のひとつ。作者は純文学作家・津島佑子の娘であり、太宰治の孫である石原燃。デビュー作となる『赤い砂を蹴る』では、ブラジルを舞台として母娘の“たましいの邂逅”を描いている。

 読者の共感を誘うストーリーテリングが評判を呼んでいるようで、ネット上では「読み始めたら止まらなかった。一人の娘である自分と重ねて読んだ。だからこそ、ブラジルの大地が人生を肯定してくれるようで救われた」「素晴らしく読みごたえのある小説。子育てに纏わる諸課題に、女性が否応なしに直面させられるロールモデル。最後に描かれる、母と娘による魂の邂逅が愛おしい」とい…

2020/6/18

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第163回芥川賞は高山羽根子『首里の馬』と遠野遥『破局』に、直木賞は馳星周『少年と犬』に決定!

 第163回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月15日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は高山羽根子の『首里の馬』と遠野遥の『破局』に、「直木三十五賞」は馳星周の『少年と犬』に決定した。

【第163回芥川賞受賞作品】

『首里の馬』(高山羽根子/新潮社)

【あらすじ】 この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。 世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。

【プロフィール】 高山羽根子(たかやま はねこ)●1975年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年「うどん キツネつきの」が第1回創元SF短編賞の佳作に選出される。同年、同作を収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。16年「太陽の側の島」で第2回…

2020/7/15

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じんかん / 感想・レビュー

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starbro

今村 翔吾、2作目です。松永久秀の物語は、何作か読んだことがありますが、織田信長が、松永久秀の半生を語ると言う構成にまず驚かされました。今まで松永久秀≒極悪非道な梟雄というイメージですが、180°ひっくり返り、正に義の人です。歴史は勝者が著わしているとは言え、どちらが史実に近いのでしょうか?いずれにしても圧倒的な快作、本書で直木賞再ノミネート、受賞もあるかも知れません。織田信長も松永久秀も私も無神論者です(笑)

2020/06/15

鉄之助

”天下の悪人”と思われていた松永久秀の違った面を、ビビッドに描いてくれた大作だった。信長が狂言回しのような役回りで、筋が展開するのも新鮮だった。松永は「成り上がり」に違いはないが、文字を書くのが上手く三好家の祐筆から出世が始まったり、茶の湯では千利休の”兄弟子”だったり、懐石料理を自ら作って客人をもてなしたり……、なかなかの教養人だったのかも知れない。戦国時代の面白さを十二分に堪能できた。

2020/07/12

しんごろ

大悪人と言われようが、それは正義なのだ。松永久秀の正義なのだ。だから、大名に登り詰めたのだ。想像の世界なのかもしれないが、今村翔吾が見る松永久秀は、きっとこうなのだ。それを自分も信じたい。まさかの男が松永久秀という男を小姓頭に語る。語る男も革命児なら、松永久秀という男も革命児。義に厚く、強さと優しさとぶれない信条を持ち合わせてるからこそ、ただでさえ目頭が熱くなってるのに、最後のエピソードで更に心打たれ、目頭が熱くなった。大きな夢でも小さな夢でも夢は夢。信条をもって夢に向かって生きるべしと教えられた傑作だ。

2020/06/17

海猫

松永久秀の生涯を描く長編歴史小説。本の厚みに怯むものがあったが、中身が濃く引き込まれ、ぐいぐいと読めた。各エピソードに響くものがあり、悪人として知られる人物の再解釈として内容は興味深い。それ以上に魅力を感じるのは「人は何のために生まれ、何のために死ぬのか」という問いが通奏低音になっていること。ストーリーラインが面白いのは間違いないが、テーマが作品全体を通してブレず、何か太いものと向き合っているようで感じ入る。ひたすら不条理に抗おうとする人生のありようを読み終えると、「じんかん」というタイトルが沁みてきた。

2021/01/21

ウッディ

戦国時代の歴史小説で重要な脇役として登場する松永弾正、謀反を繰り返し、悪名高い曲者として知られる彼の生涯を描いた一冊。幼くしくて両親を失い、弟と追剥をしながら三好家に仕えるようになる。罪なき人が戦や貧困で命を落とす理不尽な武士の時代を終わらせるという夢を果たすため、自らの義を貫いた彼の一生は、人のつながり(人間:じんかん)の在り方を探求する旅であったのかもしれない。日夏への恋心、死を前にした義興との心のふれあい、家臣達の結束など、ジーンとする場面も多く、弾正への印象を180度変える物語、面白かったです。

2021/03/26

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