読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前 (講談社文芸文庫)

ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前 (講談社文芸文庫)

ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前 (講談社文芸文庫)

作家
多和田葉子
出版社
講談社
発売日
2020-08-11
ISBN
9784065195130
amazonで購入する

ヒナギクのお茶の場合/海に落とした名前 (講談社文芸文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

田中峰和

真面目に話を追っていてはついていけない。「枕木」で駅だと思ったら海に来ていたと、非現実的な夢の世界へいざなわれる。男の車掌が海に飛び込み、制服を脱ぎだす女の車掌の乳房に触れるわたし。話は繋がっておらず、無賃乗車の女の切符を買ってやるわたし。次々と脈絡もなく展開するが、何のことやらさっぱりわからない。「雲を拾う女」では、トイレの個室を出た私は、哺乳ビンの乳首に変身してしまう。カフカへのオマージュなのか、不条理というより笑いを誘う。言葉を思いがけない変貌で変身させる。言葉の遊びなのか、読者は幻惑される。

2021/03/11

かや児

輝くばかりのチョコレートボックスからひとつを選び取るような、滾々と湧き出る不思議な泉のような。そのようなことばの配置と流れを堪能したくて手に取るのが多和田作品だ。この1冊で、いままでは、言葉だけに注目しすぎていたかもしれないと感じた。この作家はずっと、姿形に限らず嗜好や思考、場所も時間も含んだ変身・変容・メタモルフォーゼ・トランスフォーム……そういうものを書いているのではないか。変化することでかえって暴露されてしまう「わたし」を書いているのではないか。

2020/12/10

ハルト

読了:◎ 言葉で心にさざ波を立てるような。大波になるような予兆を含ませながらも、けしてそうはならない。ただ心に潜在的な不安さを置いてくる。そして解説にあるように、「名づけえぬ欲望」を描き、同一性を揺るがす、クィアな文学でもある。文体を、内容を噛み砕きながら、この著書にしか書けない世界を味わう。するとそこに著者の深い独自性が見えてくる。そして結局は波にさらわれるのだ。印象深かったのは、「枕木」「ヒナギクのお茶の場合」「所有者のバスワード」「海に落とした名前」でした。

2020/10/15

ひと

全米図書館賞受賞作家の短編集。恋愛小説が好きで本を読む速度が日々速くなってお小遣いが足りなくなる「所有者のパスワード」は面白かった。その他はちょっと難しかったかなと感じました。

2021/04/15

はちめ

比較的若い頃の作品集でイメージが鮮明な作品が多く読みやすい。また、著者による文庫本のための後書きが著者の創作過程を率直に語っていて参考になる。また本書の木村郎子による解説も多和田葉子理解において参考になります。以上、後書きと解説の感想でした。☆☆☆☆★

2021/01/30

感想・レビューをもっと見る