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襲来 下 (講談社文庫)

襲来 下 (講談社文庫)

襲来 下 (講談社文庫)

作家
帚木蓬生
出版社
講談社
発売日
2020-07-15
ISBN
9784065203750
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襲来 下 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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レアル

日蓮との関わりを綴った上巻と打って変わり、下巻はタイトル通り蒙古襲来様子が描かれている。日蓮にいつか対馬は外敵に襲われる可能性があると言われ、日蓮の手足耳目となるために対馬にやってきた見助。そこで見た襲来は地獄絵図そのもの。読んでいるだけで心が引き裂かれそうになる。その一方で日蓮と見助との相思の情は本当に心に灯が灯る。そんな2つの感情が交差しながら紡がれる物語。良い本だった。

2020/08/26

yamatoshiuruhashi

なるほど、下巻では蒙古襲来が描かれる。とはいえ、これだけのボリュームの物語に下巻の半分ほどにしか襲来の話はない。華々しい戦の描写も殆どなく見助の見た蒙古勢による対馬の蹂躙、そして二度目の襲来では狼煙守としての動きが中心となる。それなのに、戦の実態が生々しく描写される。まさに見助が日蓮の耳目となって働いていることがそのまま活写されていく。不思議な小説だ。東公園にある日蓮像の台座には手に穴を穿たれ繋がれた人々が描かれていて、子供の頃これを見て恐ろしさを感じた。それを含め元寇防塁などを改めて見に行きたい。

2020/10/20

白いワンコ

下巻となり、ついに「襲来」。その過程は史実に明らかだが、見助の眼を通して知る対馬に驚き、考えさせられる。日蓮の耳目手足たる見助の年月は長く、重い。それ故、最終章で感じる感動は、実に得難い読書体験となる

2020/08/31

TheWho

下巻に入り対馬に辿り着いた主人公は、対馬で平穏な日々を送りながら高麗や宋の情報を日蓮に送り続け、蒙古が襲来する事を確信する事になる。その間日蓮は更なる弾圧と法難に会いながらも確固たる日蓮宗を確立することとなる。そして、現場証人として対馬の蒙古による惨劇が赤裸々に主人公の口から語ることとなる。二回目の蒙古襲来「役弘安の役」を経て主人公は、日蓮の信濃身延山に帰る既に日蓮は没し、そして主人公の死で物語は終焉する。主人公と日蓮の間柄に悲哀が漂う秀作です。

2022/12/18

のれん

日蓮宗、というか修行する僧の苦悩、後悔を描いている印象が強い下巻。 蒙古の襲来、情報を対馬から送っていく展開から旅を通じて逃げる流れの中で、侵略に対する恐怖感、反抗心は出てこず、ただただ失恋の後悔、敬愛する師との再会への渇望、といった感情が出てて、蒙古襲来を第一テーマにする必要あったか? とすら思う。 忠節を誓い、純真であるからこそ二人は出会えず、しかしそれ故あれほど焦がれ合えた。美しい師弟愛であり、この激情はいかにも江戸時代の歌舞伎のような題材である。 それだけに遠目で見る舞台を見た気分である。

2021/06/06

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