ヨリシロトランク(1) (モーニング KC)
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ヨリシロトランク(1) (モーニング KC) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
死んだ人は生き返らないという世界の不文律。そして現れた少女の姿をした改変者。殺人者を殺せば被害者が生き返る、そんな世界の物語はとても“感情的に”複雑だ。喪った家族を取り戻したら幸せになれる、そんな単純な話では済まされない。復讐という意味は失われ、法律的には殺人犯になる。世界が変わっていく感覚に感情が追いつかない。たったひとつの事象が変わっただけなのにすんなりと頭に入ってこない。これは考えさせられる作品だ。
2022/01/26
トラシショウ。
「私は君を殺さなくてはならない・私には君を殺す以外の選択肢が無い」。一見我々の知る現代と同じに見えたその世界は、「改変者」と呼ばれる少女の姿をした存在により著しい変貌を遂げた。「人を殺した者」を殺すと「殺された者が蘇る」世界へと。いわゆる「因果応報」が成立してしまうこの事態に直面した時、肉親を殺された遺族は、罪を償った加害者は、法の守り手である筈の弁護士や検察官はどのように向き合うのか。帯の原作・鬼頭莫宏の「構想10年」と言う煽りが伊達じゃない事を証明する、極めて思考実験的なSF奇譚(以下コメ欄に余談)。
2020/09/21
JACK
☆ 世の中は、殺した人間を殺せば殺された人間が蘇る世界に作り変えられた。不可解な事象を人々が受け入れた事で、様々な事件が起こる。殺された家族を蘇らせるために犯人を狙う者、刑期を終えて出所しても命を狙われる殺人犯、それでも殺人犯を守る人権派弁護士、その人権派弁護士を翻意させようとする遺族団体…。理不尽に奪われた命を巡る様々な物語に惹かれます。表紙で敬遠する人がいるかもしれませんが、残酷な作品をたくさん描いてきた鬼頭莫宏さんが原作。巻末のエピソードには泣きました。オススメです。
2021/03/09
D-suke
コミックDAYSで読んで面白かったので購入。復活の制度だけじゃなくてそれに対応する蘇中刑の仕組みがよくできてて面白い。また個別の事例が色々あるのも良いし、何より最後の話では急に宇宙に行く話になったのも好きだった。
2021/11/06
チューリップ
殺人をした人間が誰かに殺されたら被害者が生き返るという世界になってしまい、それに翻弄される人たちみたいな話。ストーリー物なのかなあと思ってたらその設定を軸にしたオムニバスだった。同じ世界線だと思うけど最後には宇宙に行く話になっているし時間の幅は広そう。殺された人を再び生き返らせる為に犯罪者をどうするかみたいな法律をあれこれ考えてたりしているのは鬼頭作品っぽいなと思った。
2021/11/09
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