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スモールワールズ

スモールワールズ

スモールワールズ

作家
一穂ミチ
出版社
講談社
発売日
2021-04-22
ISBN
9784065222690
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「スモールワールズ」のおすすめレビュー

「今月のプラチナ本」は、一穂ミチ『スモールワールズ』

『スモールワールズ』

●あらすじ● 子供ができないことに悩む主婦と男子高校生、魔王のような強さを持つ姉と再び暮らすことになった弟。初孫を愛する祖母と娘夫婦、加害者と被害者ながら文通を始めた男女。定年間近の父の前に15年ぶりに現れた子。そして、ある日後輩から葬式の招きを受けた男。それぞれ異なる家族が喜びと苦しみを味わいながら生きる姿が描かれている、6編が収録された連作集。 いちほ・みち●小説ディアプラス2007年ナツ号『雪よ林檎の香のごとく』(新書館)でデビュー。『イエスかノーか半分か』(新書館ディアプラス文庫)は20年12月に劇場版アニメが公開され、話題に。同シリーズ番外編の2作『つないで イエスかノーか半分か番外篇4』『OFF AIR 2 イエスかノーか半分か』(共に新書館ディアプラス文庫)は「このBLがやばい!」2021年度小説部門1位となった。ほか、『is in you』(幻冬舎ルチル文庫)、『きょうの日はさようなら』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

一穂ミチ講談社 1650円(税込) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

叶わない願…

2021/6/5

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「いい意味で裏切られた感」「タイトルに込められた意味を知ってゾワっと…」一穂ミチ『スモールワールズ』を読書メーターユーザーはどう読んだ?

『スモールワールズ』(一穂ミチ/講談社)

 作家・一穂ミチさんに大きな注目が集まっている。一穂ミチさんは、デビュー作『雪よ林檎の香のごとく』(新書館)や劇場版アニメ化された『イエスかノーか半分か』(新書館)などのBL小説で知られてきた小説家。そんな彼女の一般文芸作品『スモールワールズ』(講談社)が今、読書家たちの間で大きな話題を呼んでいるのだ。

 この作品は6つの家族の光と影を描いた6編の連作集だ。夫との関係に鬱々としている主婦が家庭に恵まれない少年と出会う「ネオンテトラ」。出戻ってきた世にも恐ろしい姉とふたたび暮らすことになった小心者の弟の日々を描いた「魔王の帰還」。生後10カ月で突然死した孫のそばにいた祖母への疑惑ミステリー「ピクニック」。兄を殺された妹と、加害者の往復書簡「花うた」。十数年ぶりに再会した子どもと父親の不思議な共同生活「愛を適量」。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩を描く「式日」…。すべてを読み終えた時、なんだか茫然としてしまったのは、きっと私だけではないだろう。誰だってきっと悲しみを抱えながら暮らしている。この作品…

2021/5/20

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「小説を書くことで、素直な言葉を吐き出せるようになった」一穂ミチ×柿原朋哉/匿名時代の作家対談

 超人気YouTuber・ぶんけいとして知られる柿原朋哉さんが、作家デビューを果たした。そのタイトルは『匿名』(講談社)。誰もが匿名で他者と交流できるようになった現代を舞台に、生きづらさと秘密を抱える若者の姿を鮮烈に表現した。

 そんな『匿名』を上梓した柿原さんが、先輩作家と「匿名時代」を考える対談企画がスタートする。まず登場していただくのは、『スモールワールズ』『パラソルでパラシュート』(いずれも講談社)などで知られる一穂ミチさんだ。

 実は柿原さん、一穂さんの大ファンとのこと。やや緊張しながらスタートした対談では、キャラクターとの距離の取り方や匿名時代の人間関係など、濃密な話題が次々と飛び出した。

(取材・文=五十嵐 大 撮影=干川修)

「一穂さんは、キャラクターの人生を見届ける覚悟を持たれている」(柿原)

『匿名』(柿原朋哉/講談社)

――まずはお互いの作品への感想からお聞かせください。

一穂ミチさん(以下、一穂):ネタバレしないように感想を述べるのが非常に難しいんですが、主人公の友香ちゃんの「どこの集団にも溶け込めずにうまくいかない感じ」なんかは身…

2022/9/14

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歪な家族をテーマに一穂ミチさんが綴った『スモールワールズ』「“私、めちゃくちゃ普通なんで”と言っている人ほど話すとけっこう変わってる」

どんなに付き合いが長くても、家の中での顔は決して見えない

(取材・文=立花もも 撮影=首藤幹夫)

 歪な家族をテーマに書いてください、と言われ、歪ではない家族なんているんだろうか、と思った一穂さんが、箱庭のような小さな家族の世界を描きだした『スモールワールズ』。読み心地はもちろん文体もすべて変えて読者に差し出された6編は、BLの分野で活躍してきた一穂さんにとって初の一般文芸単行本だったにもかかわらず、その完成度の高さから直木賞と山田風太郎賞に、収録作『ピクニック』は日本推理作家協会賞短編部門にもノミネートされた。 「人はどうしても自分の生まれ育ちから逃れられなくて、たとえば箸の持ち方が悪いというだけで“育ち”を疑われてしまったり、逆に上品にしているだけで親御さんのしつけがよかったのねなんて言われたりする。経済的に恵まれた家庭のほうが可能性にも恵まれやすいという面も含め、よくも悪くも完全に断ち切ることはできない血の繋がりというものを、できるだけ印象の違う短編に変えて、皆さんにお届けしてみよう、と思いました。商品を陳列するようなイメージですね。並べて…

2021/12/23

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スモールワールズ / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

私たちは意識を共有したいと切望している。意識の利己と利他を揺さぶる6つの物語。他人の思考は共有できないと突きつけられた私、卑しくも利己を重んじる「ネオンテトラ」。誤解に絶望する私、姉の利他を慮る利己を知る「魔王の帰還」。私の不注意から歪ませた母、酷い不条理も利己として飲み込ませる「ピクニック」。許せない加害者、いつしか憎しみを利他に変容させる「花うた」。後悔する過去の私、多様な利他を娘から教わる「愛の適量」。不条理だと片付けられない現実で荒廃する私たちの利己でも、その共有が利他を生んでくれる「式日」。

2022/02/14

starbro

第165回直木賞候補作(漸く5/5完読コンプリート)ということで読みました。一穂 ミチ、初読です。市井の人々のスモールワールズを綴った短編集、どの作品も読み応えがありました。遅ればせながら、今年のBEST20候補となりました。オススメは、『魔王の帰還』&『花うた』です。魔王(真央)とシャラポワと私は、同じ身長です(笑) https://smallworlds.kodansha.co.jp/

2021/12/13

kou

面白かった。いろんな人生を垣間見た気持ちになった。1話目の「ネオンテトラ」を読んで心がドンヨリしたが、2話目の「魔王の帰還」で、暗い気持ちが吹っ飛んでいった!真央姉ちゃん最高(笑)。真央姉ちゃんでシリーズ化希望!!

2021/09/22

さてさて

“それぞれの家族が形成する小さな世界を、外の人間は完全にうかがい知ることはできない”、そんな意味を書名に込めたとおっしゃる一穂ミチさん。この作品には六つの短編それぞれにそれぞれ異なる『家族』のあり様が描かれていました。読みすすめていくうちに登場人物たちの印象が変化していくのを感じるこの作品。どんな人間もそれぞれの『家族』の枠組みからは逃れられないことを感じるこの作品。六つの『家族』それぞれに見る「スモールワールズ」な世界のあり方に、一穂さんが”歪さ”に愛しさを見る感覚がどことなく理解できた作品でした。

2022/11/14

うっちー

初読み作家。6つの短編がバラエティに富んでいて、今後期待です

2021/06/01

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