幻想列車 上野駅18番線 (講談社タイガ)
幻想列車 上野駅18番線 (講談社タイガ) / 感想・レビュー
さてさて
『この列車は、お客様が”本当に忘れたい記憶”へご案内いたします』。1999年をもって廃止されたはずの『上野駅』の幻の『18番線』から発車する『幻想列車』へと招かれた四人の乗客が『本当に忘れたい記憶』に対峙していくこの作品。そこには、そんな四人それぞれの人生の迷いの瞬間が描かれていました。摩訶不思議な存在・テオと車掌の迷コンビ?が物語をコミカルに演出するこの作品。記憶というものの有り様に想いを馳せるこの作品。もし、自分が記憶を消してもらえるとしたら一体どんな記憶を選ぶだろう…そんな思いに囚われた作品でした。
2023/11/21
相田うえお
★★★☆☆21043【幻想列車 上野駅18番線 (桜井 美奈さん)】ファンタジー系の作品。上野駅18番線の車両に乗ると人生の分岐のどちらの未来も見る事が出来て、それで判断した希望の記憶、つまり『嫌な思い出』を消す事も出来るという話。ジーンとする連作短編集でした。◯上野駅って在来線が1〜17番線、新幹線は19番線から。ん?なぜ上野駅に18番線がないのか?謎だ!(こ〜んなタイトルの本が実際にあるんですよね〜)◯夏場。包装紙の外からチョコを触ったとき、グニョ〜ンって感触があると∑(゚Д゚)ガーンですよね。
2021/05/03
よっち
上野駅幻の18番線には、乗客の記憶を一つだけ消してくれる列車が停まっている。秘密のホームへの扉の鍵を手にした4人の男女の連作短編集。彼らは謎めいた車掌と不思議な生き物・テオと共に旅に出た、大好きなはずのピアノと進路で悩む音大性、息子を事故死・妻を病で失った男、立て続けに悲劇に見舞われた人生で最悪のクリスマスイブ、そして幼い頃犯した罪に苦しみ続けた悔恨。もし忘れてしまったらという可能性を見せられた後に、自らの記憶を残すべきか消すべきか、それぞれが葛藤の末に決断した選択とその結末がとても印象的な物語でしたね。
2021/04/15
おかだ
ふーむ。上野駅の幻の18番線、そこに招かれた乗客は、ひとつだけ記憶を消してもらえるとの事。自分だったらどんな記憶を消して貰うかな?と考えても、意外と消したい記憶が思い当たらなかった。どんな記憶も今に繋がるし自分を構成する一部分だしなぁ…(って感じの物語もあったけども)結局どの話もその枠を越えず、振り幅が狭くなってしまった感がある。バリエーションによってはもっと感動できそうなんだけどなぁ。車掌の過去もなんだかスルスルっと最後に明かしてしまって続編も難しいかも?どうなんだろう。
2023/10/26
ジンベエ親分
記憶を消してくれる列車に乗り込んだ人たちの話。嫌な記憶を消すためには良い記憶も釣り合うだけ消さなければならないとか、記憶を消した場合の未来をあらかじめ見せてくれるとか、ちょっと変わった設定だが、そこに著者が書きたかったことがあるんだろな。小説の技法として巧いとは思えないけど、直球でぐいぐい押してくるのは心地良い。そして「車掌」にも何かあることが小出しにされ、エピローグでそれが分かる。それも少ないページでさらっと書くのはこの著者らしい。さて、自分にも消したい黒歴史の1つや2つはあるけど…どうしよ?(笑)
2023/08/20
感想・レビューをもっと見る