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深い河 新装版 (講談社文庫)

深い河 新装版 (講談社文庫)

深い河 新装版 (講談社文庫)

作家
遠藤周作
出版社
講談社
発売日
2021-05-14
ISBN
9784065234488
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深い河 新装版 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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アキ

遠藤周作70歳の時に刊行された文庫本の新装版。表紙の彫刻は、スギサキマサノリ「祈る人」。著者の晩年に、宗教的なものとは何か、祈るとはどういう行為かについて書かれた小説。リヨンに留学し、キリスト教への違和感と異端な考えからインドへ行った神父の大津は、著者と重なる。大学時代に同級生で、彼を翻弄した過去を持つ成瀬美津子を軸に、妻に先立たれ「必ず生まれ変わるから、わたしを見つけて」と言われた磯辺の人生を冒頭に置いて、ミステリー仕立てに、ガンジス河の最後に収斂していく。併せて死後刊行された「深い河日記」も読んだ。

2023/09/17

molysk

自分の生まれ変わりを探してほしい。死別した妻の願いに導かれた初老の男。過去の自らの放埓に、償いを求める女。それぞれの思いを抱いて、深い河ガンジスに人は集う。富めるも貧しきも、来世を信じて。そして、河のほとりで行き倒れた人を背負う男を、女は知っていた――。転生は東洋的思想で、本来はキリスト教とは相容れない。日本におけるキリスト教を終生の課題とした遠藤は、ガンジスで輪廻を信じる人と、イエスの復活を信じた弟子たちに、通じるものを感じたのではないか。現世における罪は清められて、新しい生に生まれ変わるのだと。

2023/06/18

yomineko@猫と共に生きる

聖なるガンジス河。死者の生まれ変わりが信じられているインドで妻の生まれ変わりを探す磯辺。大津に酷い目に遭わされたという美津子だが彼女は彼を蔑み弄ぶ。死者の画像を撮ろうとする三條に怒りを覚える。インディラ・ガンジー首相が暗殺された1984年の話。

2023/04/14

さぜん

様々な思いを抱え、インドツアーに参加する人々の人生を振り返りつつ「生きる」ことを読者に問う。20年以上も前に刊行された作品だが信仰や死生観への明確な解答は未だない。母なる河ガンジスは人生の喜びも辛苦も包み込み流れていく。そうした存在を持っことは、人生にどう影響を与えるのだろう。作者が感じるキリスト教と日本人の距離感は信仰に留まらず、生きていく上で悩み惑う時に己の心と対峙し「考える」ことの大切さを説いている気がする。流されず、惑わず、見えざる者に対する畏怖を持ちつつこれからも人生を歩んでいきたいと思った。

2022/09/26

izumi

ヒンドゥー教について学べる。ヒンドゥー教の神はキリスト教の神とは異なり、信仰のみを集めるのでは無く、恐怖などを抱かせるものであった。ガンジス河はなぜかこの小説を読むと尊いものに感じて、一度見てみたいとまで感じる。人は誰しも等しく苦難を経験しているのだ。

2021/12/30

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