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台所のおと 新装版 (講談社文庫)

台所のおと 新装版 (講談社文庫)

台所のおと 新装版 (講談社文庫)

作家
幸田文
出版社
講談社
発売日
2021-08-12
ISBN
9784065239575
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台所のおと 新装版 (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ykmmr (^_^)

『台所のおと』なんて、粋な表題から来るわけだが、女の『世界』や『苦労』、『在り方』を描いた短編集。有名文豪の娘である彼女であるが、やはり厳格文豪である父の『文才』は受け継ぎ、文章表現が技巧的ではあるが、その強さと共に、女性らしさも見受けられる。今以上に、女の立場が弱かった時代。文章的にも難しいところもあったので、全ての理解は難しかったが、オンナって、何で苦労が多いのか?オトコの足に踏まれないといけないのか?と思う事ばかり。「オトコを立てる。」美学も、納得出来ない時もあるしね。

2022/11/14

さおり

2023年11月勝手に課題図書。を、今さら。大幅に遅れましたが、無事に読了いたしました。帯には、「なにげない日々の暮しに耳を澄ませ、目を配り、心を傾ける。透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集」と、あります。うん、それだ。なんかねー、ことばがすごく良かったのよ。良かったんだけど、手帳に書いておこうとか憶えておこうとか、そういう感じでもないって言うか。読んで良かったのは確か。特に気に入ったお話は「祝辞」とか「呼ばれる」とか。あ、いちばん心に残ったのは「雪もち」の主人公の名前ね。埴子!ネーミングセンス!

2023/12/19

幸田文の文章は、美しく洗練されている。古めかしさはなく、粋だ。一つひとつの短編は短いが、かるく読めるような話ではないので、一心不乱に読んだ。死に近づく者の姿を間近に見る人間の、切実な感情が生々しかった。看病する側の人間は、だんだんと心をすり減らしてゆく。けれどもそういう時こそ芯の強さ、踏ん張って立とうとするたくましさがひかる。 初めて知る日本語も多かった。印象に残ったのは「胸がはららぐ」という表現。古い作品にこそあたらしい言葉を発見することができる。いくつになってもあたらしい言葉を知るのは楽しい。

2021/11/21

エレナ

短編10作品集。昭和30〜40年代に書かれた作品で、文体が読みづらかったが、感想のために読み返すとなんだか愛おしくなった。噛めば噛むほど味が出てくるかんじ。家の中のことや、女の心情を細かく描写していて、その独特の繊細さや感性を、読み慣れてくると少し面白がることができたような気がする。作者が50代に書いたとのことで、積み重ねてきた生活の重みやリアルな老いを感じた。「ぴかぴかとひとりぼっちだった。」等、好きな表現も沢山ある。苦心して読了したのにこんな感想になるとは自分でも驚く。名作の力かな。

2023/11/29

スリーピージーン

私は自分の出している音に鈍感な人間は嫌いだ。誰だってなにがしかの音をたてて生活しているものだが、雑音をかまわず立てる人間は、考え方もふるまいも雑なのだ。今どきは台所とさえも言わない。「キッチンの音」ではこのお話にはならない。主人公は病み伏せっている料理人であり、寝床で聞いているのは妻と若い女性の使用人の台所で立ち働く音である。音だけで何をどのように調理、準備しているかわかる。どの作品も、来し方を振り返る心の機微が繊細に描かれて、懐かしい東京言葉にため息がでる。昭和30、40年代に発表された短編を収録。

2023/03/11

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