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最後の挨拶 His Last Bow

最後の挨拶 His Last Bow

最後の挨拶 His Last Bow

作家
小林エリカ
出版社
講談社
発売日
2021-07-07
ISBN
9784065240601
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最後の挨拶 His Last Bow / 感想・レビュー

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いたろう

表題作他、短編1編。表題作は、著者の父親、医者でシャーロック・ホームズ・シリーズの翻訳家、小林司氏を中心とする、家族の物語。最初、知らずに、てっきりフィクションだと思って読み始めたが、年表記などが妙に具体的なので、もしやと思って調べて、初めて著者の実際の家族のことだと分かった。そう知って読むと、たんたんと簡潔な文章の行間に家族への思いが見えてくる。ホームズは、昔、読んだが、本作で出てくる登場人物ネタは、今ではよく分からない。ホームズ・シリーズをもう一度読んでみたい。その時は、小林司・東山あかね夫妻の訳で。

2021/09/16

tenori

2010年に亡くなった著者の父親(シャーロック・ホームズシリーズ全巻の翻訳者)への追悼作であり、家族の歴史を過去と現在を巧みに交錯させながら描いている。同時に、目に見えない脅威(大戦時の毒ガスによる攻撃、震災に起因する放射性物質の拡散、新型ウイルスなど)を織り交ぜているあたりも小林エリカさんらしさ。脳内出血で奪われる記憶と、震災による津波で奪われる生活を同様の表現を重複して用いることで緊迫感を身近に感じさせる表現力も唸った。が、結果何を主題にして何を伝えたいのか判然としない印象も残る。

2021/10/10

ちょき

父親であり、シャーロキアンである小林司氏についての追悼小説と言ってよいだろう。タイトルに込められた想いとはー。河出書房新社から発売されているシャーロックホームズの小説は小林司氏とその奥様の東山あかねさんの共著となっており、お二人の馴れ初めについても書いてあった。父親の病気で倒れる晩年から死に逝くまでの思い出や弟リブロとの関係など読んでて一人の父親を亡くした娘として、父への思い出を整理しているのだろうかと、含まれる愛情がじりじりと伝わってくる。「交霊」第一次大戦後、ドイル晩年からのオマージュ作品の短編付き。

2021/09/15

フリージア

読んでみました。シャーロック・ホームズの翻訳をされた家族の話と分かっていたので入り込み易かった。倒れた父の看病をしながら、足の踏み場も無いほど本が積み上がっていた家、父と再婚の母との素敵な出会い、出征していた軍医の祖父の話、東北大地震の話などを回想しつつ、大切な人が亡くなる思いも。詩のような小説でした。短編の「交霊」は誰が誰か交錯したが、見えないものを見せた、"ラジウムの火"を見つけたキュリー婦人を見ている霊…。科学では明らかにならない物がまだまだ。

2021/09/07

ぐうぐう

亡くなった父を綴る行為は、小説という形を選択したことで、まず時空の壁を超える。『シャーロック・ホームズ』の翻訳者だった父への想いは、いつしかホームズの住むベーカー街221Bへと導かれ、『ホームズ』を書いたコナン・ドイルの心境へと移っていく。それは不思議と、いや、必然的に父の心境と重なるのだ。父の過去は、日本の歴史を映し、やがて自分を含む家族の姿を照らし出す。その時空を巡る旅の中で、作者はひとつの、そして確かなる実感を得る。(つづく)

2021/07/26

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