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宝島(下) (講談社文庫)

宝島(下) (講談社文庫)

宝島(下) (講談社文庫)

作家
真藤順丈
出版社
講談社
発売日
2021-07-15
ISBN
9784065243749
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宝島(下) (講談社文庫) / 感想・レビュー

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ふう

1972年、沖縄はアメリカの統治下から離れ、本土復帰を果たしました。でもそれは沖縄の人々が望んだ「核と基地のない沖縄」ではありませんでした。復帰に至るまでの激しい闘争に関わった幼馴染3人の苦悩。(上)と同じで彼らに襲い掛かる暴力のすざましさに、フィクションでもこれは多分事実だと思いました。これ以上だったかもしれません。苦悩の果てに3人が知った、彼らの英雄が守り抜いたもの。物語のタイトルが意味するものは、その英雄の心なのか、英雄が守り抜いたものなのか…。わたしにとっては、沖縄の歴史や自然、沖縄の全部ですが。

2021/08/28

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

基地襲撃の夜に消えた彼らの英雄オンちゃんの行方は?彼らが持ち出したされる「予定外の戦果」の真相は?ミステリーの要素も含みながらグスク、ヤマコ、レイ三人の若者達の青春の物語であり、戦後から沖縄返還までの激動の沖縄とそこに暮らす人々を描く熱い物語であった。★★★+

2021/09/26

yumiha

副題が「センカアギヤーの帰還」だったので、この沖縄の閉塞状況をオンちゃんが切り開いてゆくのだろうと予想していたのだが…日本人としての甘ちゃん体質だな、私。上巻ではグスクやレイやヤマコの周りをうろついているだけの脇役と思っていたウタの名前の由来が理解できたとき、ただの浮浪児ではなかったと思い知らされた。沖縄の歴史をユタ、ノロなど民間宗教を含めて描くために、祖霊の語り部が必要だったんだね。

2022/09/05

翔亀

【沖縄4】(上巻の感想から続く)沖縄現代史の原点は沖縄戦であり、沖縄の今も基地問題抜きでは何も語れない。本書の物語は1952年の嘉手納基地の「戦果アギヤー」で始まり、1972年の本土復帰で一旦幕を閉じる。本土復帰しても何も変わらないことが判っていたからだ。この間、日本人はほとんど登場しないのが象徴的だ。日本人にとって沖縄は自分の都合で利用しかしない現代史だったからだ。「この島の人たちはみんな、理不尽な運命にあらがう処世術を、身のよじれるような悲嘆や憎悪からの自衛手段を教えられて、いまもそれを次の世代↓

2021/10/18

Kanonlicht

佐藤首相とニクソン大統領による会談の末の沖縄返還発表、その翌年に起きたコザ暴動。その時々に沖縄の人々が何を見てどう感じたか。本州の人には到底うかがい知れない沖縄人の苦悩と葛藤があったことを初めて知ることができた。折しも今年は沖縄返還50周年。6月23日の慰霊の日には戦没者追悼式が開催された。日本国民として、沖縄の人たちの今もなお続く苦しみに寄り添わなければと感じた。物語としては、その激動の時代を生きた人々の熱量に圧倒される。文句なしの傑作。

2022/06/24

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