青い春を数えて (講談社文庫)
青い春を数えて (講談社文庫) / 感想・レビュー
ponpon
5人の女子高生を主人公として、大人になる直前のアイデンティティ確率に悩む思春期の様相を描く連作短編集。「自分とは何者なのか?」これを考えられるのは若者の特権だと思う。大人になると、答えを見出すもの、または日常に流され悩むことをやめる凡夫も此処に。印象深いのは、大学生の姉との対話で構成された「側転と三夏」でしょうか。対象的な二人の対話はセンスもよい。この姉は教育者の素養がありますね。あとは「漠然と五体」です。この出来事は生涯の記憶として残るのだろうと思います。5編どれもが青春って良いなと思わせてくれます。
2021/07/18
よっち
数えても数えきれない複雑な思い。葛藤を抱える少女たちの逡巡とそれを乗り越えてゆく姿が描かれる5つの連作短編集。親友に対する複雑な想い、ズルイと思われたくないでも損したくない心境、天真爛漫な姉に対する器用貧乏な妹のコンプレックス、メガネにこだわる少女の心境を言い当てた電車の中での出会い、そして優等生が噂の不良少女に振り回されて気づいたこと。登場人物たちがゆるく繋がるひとつの世界観の物語で、繊細で複雑な想いをずっと抱えていた少女たちがきっかけを得てそれを乗り越え、新たな一歩を踏み出す姿はとても心に響きました。
2021/07/15
三代目けんこと
酸いも甘いも青春。これは、おじさんの自分ではなく、数年後の娘が読む本だな……。とりあえずそれまでは自分の本棚に置いておこう。
2021/08/21
❁Lei❁
とある登場人物の名前が私と同じだったので、ご縁かなと読んでみました。自称進学校に通う少女たちが、自尊心や劣等感でぐちゃぐちゃになりながらも前進してゆく短編集です。第一話が典型的な公立高校入試で出題されるような話だったので食あたりしましたが、共感するところも多く心臓がギュッと縮まる思いでした。「ずるい」という感情は、負のエネルギーが煮詰まった、相手も自分も貶める恐ろしいものだと常々感じています。つまらないプライドなぞかなぐり捨ててしまえば楽になれるということを、中高生の私に教えてあげたいです。
2021/08/01
須戸
青春を送る各登場人物に感情移入しやすい物語だった。「白線と一歩」では、放送部のNコンは凄そうと感じた。「作戦と四角」の一人称に関する考え方など、共感できる部分が多かった。登場人物の中では清水さんが自分とは全く違うタイプだけど、発言に納得できるところがあって惹かれるものがあった。ただ、彼女のような生き方はできないし、しなくても良いかなと思った。ほとんど知らない方ではあるけれど、井上獏さんの解説も全文響いた。感想をまとめきれないくらい素晴らしい本だと思った。
2021/09/16
感想・レビューをもっと見る